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介護従事者のケガが労災として認定されるケースと労災認定基準とは

2022.11.16
分類:経営

介護現場の仕事は、体力を使う業務もあればデスクワークもあるなど大変幅広いといえます。

そのため身体と精神のどちらにも大きな負担がかかりやすく、利用者を支えているときに転んでケガを負ってしまうこともあるでしょう。

業務中に発生した事故で介護従事者がケガを負った場合、労災として認定されれば治療費は保険給付の対象となります。

しかしどのケースでも労災として認定されるわけではないため、どのようなケースであれば認められるのか、労災認定基準について説明していきます。

労災として認められるケース

介護現場の仕事は、身体・精神どちらにも負担のかかる作業が多いことや、現場で働く労働者も高齢化が進んでいることにより、労働災害が発生しやすい環境にあるといえます。

労働災害が発生したときに、労働者に対する補償は労災保険(労働者災害補償保険)から行われますが、業務上の事由または通勤で労働者がケガを負ったときや疾病にかかったとき、障害を負ったり亡くなったりしたときに労働者本人やその遺族に対し保険金が給付される制度です。

介護現場で働くすべての労働者が労災保険の対象であり、正社員だけでなくパートやアルバイト労働者なども労災発生後は保険申請が必要となります。

ただし、業務中や通勤中にケガや病気になれば必ず補償されるわけではなく、労災であることを認定してもらうことが必要です。

労災認定は労働者から労働基準監督署に申請することで判断されますが、業務上の災害が労災として認定されるには次の2つの要件を満たすことが必要となります。

・業務が原因で災害が発生しケガや病気などにつながったこと(業務起因性)

・業務中に災害が発生しケガや病気などにつながったこと(業務遂行性)

 

労災保険の対象となる業務災害の事例

介護現場で介護従事者が働いているとき、何らかの事故や事情でケガを負ってしまった場合などにおいて、労災の対象となるのは次のような事例です。

・施設や訪問先で転んでケガを負った

・利用者の入浴介助中。無理な体勢で腰などを痛めた

ただし原因が持病のときには労災とは認定されないため注意してください。

また、反対に労災の対象にはならない事例として次のようなケースが挙げられます。

・休憩時間中にキャッチボールをしていてケガを負った

・業務中に脳梗塞など脳の疾患により倒れた

ただし脳梗塞を起こした原因が過重労働であると認められれば労災として扱われます。

 

労災保険の対象となる通勤中の災害

介護従事者が通勤中に、何らかの事故や事情でケガを負ってしまった場合において、労災の対象となるのは次のような事例です。

・自転車で通勤中、歩行者にぶつかりそうになったためよけようとして転んでケガを負った

・職場に向かおうと自宅の共有階段を降りているとき踏み外してケガを負った

反対に労災の対象とならないのは次のようなケースといえます。

・通勤前に自宅の階段を踏み外してケガを負った

・仕事終わりに友人と居酒屋で食事後、自宅に帰る途中で転んでケガを負った

通勤の途中で発生した事故は労災に認定されることが多いものの、通勤途中でも私的な用事で発生した事故によるケガなどは認定されませんので注意してください。