介護保険法による介護施設の職員の最低人数を「人員配置基準」といいますが、職員1人あたりが受け持つ利用者のベッド数と言い換えることもできます。
人員配置基準は現在、利用者3人に対し職員1という割合ですが、今後は段階的に4対1へと見直していくことが検討されているようです。
職員1人が受け持つベッド数が増えてしまうと、人手不足が深刻化している介護現場ではさらに負担が大きくなることが予想されます。
そこで、人員配置基準の内容と、職員が受け持つベッド数の割合は変わるのか、について解説していきます。
「人員配置基準」とは、介護保険法による介護施設の職員の最低人数です。
たとえば現行の3対1の場合、利用者3人に対し介護職員は1人配置しなければなりません。
この人員配置基準を守らずに3対1を下回る配置だった場合には、介護報酬が減額されてしまいます。
ただ、この3対1という人員配置基準は、24時間いつでも利用者3人に対し介護職員1人の状態を保たなければならないわけではありません。
たとえばグループホームの場合にはユニットで生活することになりますが、1つのユニットが9人なら、利用者3人に介護職員1人必要になるため、1ユニットには3人の介護職員が配置されると考えられます。
しかし実際には常勤の介護職員総数に対し、働いている時間数が3対1の常勤換算方法で問題ないとされています。
1ユニット9人のグループホームなら、利用者3人×8時間の介護職員の配置で問題ありません。
現行は3対1人員配置基準ですが、4対1になる可能性もゼロではありません。
利用者4人に対し介護職員1人の配置となれば、人のいない現場が常態化する可能性もあり、不安を感じる介護職員も少なくないようです。
人手不足が深刻化する介護現場では、人員配置基準が変更になることで決まった人材の確保はできても、サービスの質は低下する可能性もあるといえるでしょう。
人員配置基準の緩和は、特定の施設形態を対象に検討されているようですが、今後も気にしておくことが必要といえます。
4対1基準は、ICTや介護ロボットなど先進的な技術を導入することでサービスの質を低下させず、職員の負担軽減や人員削減を実施している特定施設が対象となる可能性があると考えられます。
介護現場の人材不足は今後さらに深刻化する可能性があるため、基準の緩和を目指す介護事業所がICTやロボットを導入するようになると、今よりも利用者に寄り添ったケアができるかもしれません。