介護業界へ、異業種から参入する傾向が強まっています。
まず、介護事業への参入には法人格が必要となるため、 定款法人の目的に介護関係が含まれていないときには目的変更登記が必要となるものの、既存の法人を活用した異業種から参入なら新規会社設立する必要はありません。
日本の高齢化社会の影響で、介護事業の需要は高まり続けているといえるため、異業種からの参入も求められています。
そこで、介護業界への異業種参入が求められる理由や、新規参入のメリットやM&A増加の背景について紹介します。
介護業界で異業種参入が求められるのは、介護のニーズは増加傾向にあるからです。
日本は後期高齢者社会が急速に進んでおり、老老介護などの問題も懸念されています。
老老介護とは、介護されている側と介護している側のどちらも65歳以上である状態です。
夫婦どちらも高齢である場合や、高齢の親の子も高齢になっているケースなどであり、介護している側は大きな負担を抱えます。
異業種から介護事業に参入するメリットとして、本業を活かしたサービス提供が可能になることが挙げられます。
たとえば建設業が新たに介護事業へ参入する場合、バリアフリー化しても使いやすい施設を作ることができ、利用者の自宅のリフォームなど安心して受注できるでしょう。
飲食業から介護業界への事業に参入する場合では、お客様に食事を提供するという点では、飲食業でのノウハウを活かすことができるでしょう。このように、複数の事業展開による相乗効果も期待できます。
また、介護事業は、季節や景気による売上の変動が少ないという特徴があります。
既存の業種と介護事業の二本立てにすることで、より安定した経営を行うことができます。
慢性的な人材不足は介護業界の大きな課題となっていますが、要因として処遇面や待遇面が他業種と比べて低く、離職率が高めであることが挙げられます。
人材確保を目的にM&Aを検討するケースが増えており、すでに介護業界で運営されている企業を買収することで、介護現場におけるスキルやノウハウや従業員を取り込むことができると考えられています。
施設数の増加や従業員数の増員で、従業員もリーダーとして他の施設に異動できるなど、キャリアアップにつながることがメリットです。