介護業界は人手不足が深刻化しているため、成長産業として期待されている業界ということもあり、異業種からの新規参入も増えています。
そのため介護事業者のM&Aも進んでおり、増加傾向にあるといえます。
介護業界で事業の譲渡・譲受を考える方に向けて、M&Aの傾向や特徴、メリットなどを簡単に紹介します。
「M&A」とは、「Mergers and Acquisitions」の頭文字を省略した呼び方であり、合併や買収を意味します。
2つ以上の会社が一緒になる合併や、他の会社を買いとる買収など、企業または事業の全部または一部が移転する取引です。
近年は企業の成長戦略の手段と、M&Aを活用するケースが増えています。
介護業界のM&Aは、市場拡大を受けて成長分野ととらえる企業や施設をメインに増加傾向にあります。
事業を拡大することで、既存の介護ビジネスの収益性を向上させることも期待できます。
そのため介護業界の成長を見込み、異業種の新規参入や経営多角化の目的でのM&Aも多くなっています。
介護業界のM&Aは、人材確保を目的として行うことが多いといえます。
実際、介護現場の人材不足は深刻化しており、介護人材やケアのノウハウの譲受により、必要な人員確保だけでなくサービスの質向上にもつなげることができるでしょう。
介護業界のM&Aにおいては、介護施設の経営者の高齢化が進んでいるものの、事業承継は進んでいません。
介護保険制度がスタートした2000年から20年以上が経過し、介護施設の経営者の高齢化が進み、後継者不在に悩むケースも多数存在しています。
中小規模の介護事業所では、親族内や社内で事業承継することが一般的だったといえるものの、少子化で後継者が不足傾向にあります。
そのため社外承継が増えており、今後も後継者不足を解消に向けたM&Aは、今後さらに増えることも予想されます。
国も介護事業所の統合・再編や、経営規模の拡大や資源集約へ向けた方針を示しているため、これに伴うM&Aの実施は今後さらに増えると考えられるでしょう。
介護業界のM&Aが進むことで、既存の介護事業所は廃止することなく、施設利用者や従業員も住む場所や仕事を失うことがなくなります。
そのため介護施設を売却する介護事業者の場合、経営安定化を目的としてM&Aを検討することになるでしょう。
買収する企業はシナジー効果を得ることを目的としているため、M&Aにより業績が上がれば、従業員に福利厚生の充実性向上などに貢献される可能性もあります。