介護事業者が事業売却を決断する理由は、たとえば現場の人材不足が深刻化しているものの、雇用にお金をかけることができず問題が解消されないことなどが挙げられます。
他にも後継者候補がいない場合や、異業種参入によって激化する競争に耐えられないなど、いろいろなことが背景にあるといえるでしょう。
介護報酬は3年に1度改定され、今後はどのような状況になるのか先が見えず、不安が払しょくされないためにいっそ事業売却してしまうといった選択をするケースもあるようです。
特に訪問介護などの事業売却などを検討する事業者が少なくありませんが、その理由やどのような問題を抱えているのかについて紹介していきます。
訪問介護が事業売却を検討する理由として、日本の少子高齢化が進んでいることが挙げられます。
要介護人口と高齢者人口は今後も増えることが予測されます。
介護してほしい高齢者の数は増えるのに対し、現場で働く人材は足りていないままです。
訪問介護の介護報酬は高額といえず、改定後も大幅に増えることは期待できないといえるでしょう。
そのため事業を継続することが難しくなり、売却を検討するケースも増えているようです。
訪問介護に限らず、介護施設では設備や雇用に資金を投じることが難しいケースも少なくありません。
資本力のある他業種から参入するケースが多くなり、業界内での競争も激化しています。
サービスの質向上が求められる中で、資本力が乏しい事業者は設備投資や人材雇用へお金をかけられないため、対応することができません。
結果的に事業継続が難しくなり、事業売却など検討するケースが多くなっていると考えられます。
訪問介護やデイサービスでは、多忙なあまり心身がひっ迫した状態で働き続けなければならないケースもめずらしいことではありません。
介護報酬が他業種より低いことで、介護スタッフに支払う賃金に反映させることができず、労働と賃金が見合わないと感じたスタッフが辞めてしまうケースも多いようです。
介護に対する需要は高まっているのにもかかわらず、人材不足は解消されないため、スタッフ1人の負担が重くなり、待遇のよい同業他社へ人材を取られるケースも見られます。
問題を抱えたままの介護事業者は、設備投資も人材確保においても不利であるため、売却という決断を余儀なくされているとも考えられるでしょう。