介護事業所に対する行政の監査は、事前に通知されることもあれば、告知なく突然始まることもあるとされています。
都道府県や市町村によって対応は異なるといえますが、いずれの場合でも行政の指導や検査には誠実に応じなければなりません。
そこで、介護事業所の監査や実地指導について、その流れや実施されるまでの日数を解説していきます。
「監査」とは、行政の得た情報によって、人員・設備・運営基準などの指定基準への違反行為や不正請求などが認められる(または疑われる)場合に実施されます。
介護業界での監査は、介護保険法にも各事業類型に「報告等」として規定があります。
都道府県知事または市町村長は、介護サービス費の支給について必要と認める場合に、以下の内容が可能になることが規定されています。
・介護事業者に報告・帳簿書類提出・提示を命じること
・介護事業者の従業員にも出頭を求めること
・職員から関係者へ質問をさせること
・介護事業者の指定に係る事業所やその他介護サービス事業に関連する場所への立ち入り
・設備・帳簿書類・その他の物件の検査
実地指導とは、都道府県や市町村の担当者が事業所運営の現状を確認・指導することです。
具体的には、以下の2つを行います。
・高齢者虐待防止や利用者支援など、現場で提供される介護サービスの質を確保・向上するための運営指導
・介護保険制度に基づいた報酬基準など不正請求を防止するための報酬請求指導
不正な請求に関する通報などがなかった場合でも実施される指導であり、確認項目に著しく不適切であると判断される部分があれば監査へ移行されます。
行政から改善勧告が出された場合、介護事業所は改善報告書を提出することが必要です。
虚偽の報告を行えば、指定取り消しなどの処分になる恐れもあるため、十分に注意してください。
実地指導の通知があり、実際に実施されるまでは、以下の流れで手続が進みます。
①実地指導の通知
②事前資料の提出
③実地指導当日
④口頭指導及び改善指示
⑤書面指導及び改善指示
⑥改善報告書及び改善根拠資料の提出
⑦自治体での受領確認にて完了
苦情や事故などによる実地指導は、当日、通知持参のもとで実施されることも多いため、事前の予告がない場合もあると留意しておきましょう。
それ以外の理由で行われるケースであれば、通知から実施までの期間は最短7日程度から、2か月程度と自治体によって差があります。
平均的な目安として、14日程度と認識しておくとよいでしょう。