介護施設の運営では、経費の多くを占めるのが人件費です。
そのため人件費をかけ過ぎると赤字経営になってしまうため、無視できないコストと考えられます。
介護施設の人件費については、どのように計算するべきか、どのくらいの割合であれば問題なのか目安を知っておくことが必要です。
そこで、介護施設の人件費について、計算方法やサービスごとの割合の目安を紹介します。
人件費とは、「人」を雇用したり働いてもらったりしたときの費用です。
一般的に給与や賞与が該当すると考えられがちですが、他にも以下の支払いが人件費に含まれます。
・給与
・賞与
・退職金(退職引当金)
・役員報酬
・法定福利費
・福利厚生費
・通勤定期代や社宅費などの現物支給
なお、研修費や採用にかかる費用を人件費に計上する会社もあります。
人件費率とは、売上に対する人件費の割合です。
利益を分析するうえで重要な割合といえますが、以下の2つに分けることができます。
・売上高人件費率(売上に対する割合)
・売上総利益人件費率(利益に対する割合)
どちらも人件費が損益においてどのくらい占めているかあらわす指標ですが、以下の計算式で算出します。
売上高人件費率=人件費÷売上高×100
売上総利益人件費率=人件費÷売上総利益×100
人件費率の適正値は、細かな数値は施設の業種や規模によって異なるものの、一般的には以下のとおりです。
・売上高人件費率 13%程度
・売上総利益人件費率 50%程度
細かい適正値を確認したいときには、同業種の平均値と比べるとよいでしょう。
介護サービスごとに、収益を占める人件費の割合は異なります。
ただしい人件費を分析するときには、同じ介護サービスを参照にしてください。
たとえば介護老人福祉施設は、人件費が約63%を占めます。
直接介護支出が高めであり、収益の約14%に達することも特徴といえます。
また、介護老人保健施設の人件費割合は約61.7%ですが、収益を占める一般管理支出は約18%と、他の介護サービスより高めです。
訪問介護はヘルパー派遣が前提となるため、一定数以上の介護職員が必要となり、他の介護サービスより人件費割合は高めの約77%となっています。
最後に通所介護は、人件費割合が約63%となっています。
利用率に対する人員の過度な配置を行う施設が多めであることで、割合も高くなっていると考えられるでしょう。