福祉国家とは、福祉増進を目標に、社会保障や経済の政策で国民の生活を安定させようとする国家です。
統一された定義はありませんが、国の実施する医療・所得・雇用などの社会保障政策で、資本主義による貧困や生活不安などの社会問題に対処し生存権を保障することといえます。
国民が国家の保障を頼らなくても生活できるように、経済を高水準に保って雇用や所得を確保できるようにします。
福祉国家とは、資本主義による貧困などの社会問題へ対処するため、医療・所得・雇用などの社会保障政策を国が行うことです。
主にイギリスや西ヨーロッパ諸国が、第二次世界大戦後に理想像として掲げた国家であり、北欧諸国がその代表例とされています。
なぜなら北欧諸国は、社会保障を受ける権利が市民権に基づいており、高所得者や低所得者なども同じ権利と給付を受ける普遍主義の国だからです。
福祉国家の問題は、経済成長と福祉のエネルギーのベクトル方向が相反していることです。
第二次世界大戦後の70年近い歴史において、現在の福祉国家は消費社会の国際的な安全保障と経済連携への貢献、さらに国内福祉達成やグローバル経済の国内支援で各国と競争・協調し合う国家となっています。
資本は自在に移動しても、人はすぐに移動できない矛盾があるといるため、経済成長と福祉のエネルギーの方向が相反している状況といえるでしょう。
福祉国家とは、社会保障制度などの規制や公共事業などの政策を含む公共部門の私的領域への介入により、人々のっ暮らしを守ろうとする国家機能を含む概念といえます。
対する資本家とは、工場や機械などの生産手段を有する資本提供者です。
現代のイメージでは、経営者や社長の立場に近い人といえます。
生産手段を持つ資本家と、労働者では、資本家の立場が強くなります。
ただし資本家は、経営を直接担当する機能資本家と、利益配分にあずかるのみの無機能資本家に分類することもできます。
なお、福祉国家と資本家に関する論点として、たとえば以下のことが挙げられます。
・福祉国家の生成と宣言は、富裕な資本家層ではなく労働者や国民大衆層が必然的に行うものである
・福祉国家の型として挙げられる自由主義レジーム・保守主義レジーム・社会民主主義レジームの3つの論における福祉国家の型は、階級連合の働きにより選択されたとされていること
・日本の福祉国家を3つの類型に当てはめることは難しく、発展を階級連合の形成で説明する試みも成果を挙げていないこと