2024年4月の介護報酬改定により、訪問介護サービスの基本報酬が引き下げられました。
それにより、とある事業者は半年間で前年同期よりも3500万円減収したともいわれています。
元々経営が厳しい訪問介護サービス事業者へ追い打ちをかける結果となった介護報酬改定ですが、すでに業績悪化による倒産は後を絶たない状況です。
業界は危機に直面しているといえますが、減収とも関係する介護報酬の決定方法と、減額される理由を説明します。
「介護報酬」とは、介護事業所に支払われる事業者の提供する介護サービスの対価です。
介護報酬=介護サービスの単位数×1単位あたりの単価
報酬額は、利用者へ提供したサービスの種類や量に基づき計算されます。
訪問介護や訪問看護などは人件費の割合が高いため、それに応じた報酬設定となります。
介護報酬は、サービスごとの人件費率や地域の物価の違いなどが加味されます。
地域やサービスの種類により、報酬額が変わります。
また、利用者が支払う自己負担分は、介護保険で定められており、サービス利用の度合いに応じた上限が設定されています。
限度額を超える部分は、利用者が全額負担することが必要です。
介護報酬は、介護保険制度の下、3年ごとに見直されています。
時代の介護ニーズ・物価変動・社会情勢などに応じた金額設定となります。
2024年の介護報酬改定では全体で1.59%引き上げられているものの、新型コロナウイルス感染症が拡大した2021年度の改定は、以下の内容で見直しがされました。
・感染症対策加算の創設
・介護職員処遇改善加算の拡充
・サービスの見直し
新型コロナウイルス感染症の影響により、感染症対策費用が増えたため、事業者負担の軽減のために加算の改定がされています。
上記のうち、介護職員処遇改善加算は、介護職員の処遇改善が目的の加算です。
介護報酬が減収される理由は、たとえば訪問介護サービスでは基本報酬が引き下げられています。
これは、近年の訪問介護サービスの利益率が、すべての介護サービスの平均を大きく上回っていたためです。
利益率や処遇改善加算率が高く、処遇を改善したほうがよい介護職以外の職員が少ないことが挙げられます。
介護業界は、人材不足や倒産件数が増えて厳しい状態といえるため、事業継続のためには加算取得などの努力が必要といえます。