介護・福祉業界では、後継者不足で事業を継続できないケースも増えつつあります。
仮に人材不足の問題を解消できたとしても、事業継承がうまくいかなければ、廃業に追い込まれてしまいます。
実際、老人福祉・介護事業の倒産件数は毎年増加傾向にあり、特に訪問介護事業・通所・短期入所介護事業の件数は全体の半数以上を占める数です。
経営不振や人材不足だけでなく、後継者不足で介護事業所の廃業・倒産が増えることが見込まれます。
そこで、介護事業所を続けるための事業継承の方法について、種類の内容や流れを簡単に解説します。
事業継承とは事業承継のことであり、後継者に事業を引き継いでもらうことです。
介護事業所の事業継承は、現金や不動産など、所有する資産以外にも、取引先やブランドなど事業関連のすべてが対象となります。
事業承継の方法には、以下の種類があります。
親族内承継
親族外承継
それぞれ説明します。
親族間承継とは、子や親族などへ事業を承継することです。
親族の事業承継は進みやすいものの、異業種の仕事に就く親族が承継を希望しないケースや、後継者候補が会社経営に向かないケースもあるため、手続が進まない場合もあります。
親族外承継とは、会社役員や従業員など親族以外に事業を承継することです。
役員や従業員に会社を任せれば安心といえるものの、株式取得の資金がない理由などで手続が進まない恐れもあります。
なお、M&Aによる承継も親族外承継に含まれます。
M&Aによる親族外承継は、家族や従業員ではない、第三者に事業を承継してもらう方法です。
後継者候補が見つからない会社などで近年取り入れている事業承継の方法ですが、事業所を廃業しなくてもよいことや、従業員の雇用を守れることが特徴といえます。
介護事業所の事業承継の流れは、親族間承継・親族外承継・M&Aなどにより異なります。
そこで、以下の2つに分けて事業承継の流れを説明します。
・介護事業の親族間承継・親族外承継(従業員等)の流れ
・介護事業のM&Aによる事業承継の流れ
①事業承継計画の策定
②後継者教育
③資産・財産・株式・許認可などの引き継ぎ
④個人保証・担保の処理
①仲介会社などへ相談
②承継先の選定
③基本合意書の締結
④デューデリジェンスの実施
⑤最終契約書の締結