
介護福祉事業の技能とは、利用者の身の回りの世話をするだけでなく、自立を支援する高度な専門技術です。
利用者の身体的特性や精神状態、人生の背景などを理解した上で、最適といえる支援を提供する上で求められる能力ともいえます。
身体介助などの技能に加えて、科学的根拠に基づくコミュニケーションや、テクノロジーを使いこなせる新たな技能も求められます。
そこで、介護福祉事業と技能について、種類や価値、将来性を解説します。
介護福祉事業の身体介助は、主に食事・入浴・排泄・移動における日常生活動作(ADL)をサポートすることです。
人の身体構造やボディメカニクス(力学)を活用して、力任せに抱え上げることのないノーリフティングケアが主流となっています。
利用者の残存能力を引き出しつつ、介護者の腰痛なども防げる洗練された技能であるため、利用者にも過度な緊張を与えることはありません。
自然な動きを促し、身体機能の維持・向上を図ることが不可欠になっています。
介護福祉事業で、現在最も注力しているといえるのが科学的介護です。
従来までのケアは経験や勘に頼りがちだったものの、科学的介護情報システムではデータに基づいて技能を数値化・客観化します。
たとえば、利用者がどの程度の運動をして、どの内容の食事を摂り、その結果ADLがどのように変化したのか分析して最適なケアプランを作成するなどです。
これまでの現場技能に加えて、データ分析やICTリテラシーなどのスキルも必要となるため、新たな技能が介護職に求められていることを意味します。
介護福祉事業で、保有する技能を客観的に示す指標となるのが介護福祉士です。
医学的知識・心理学・社会福祉制度・実技技術などのスキルが証明される国家資格であり、実務経験を積めば認定介護福祉士・ケアマネジャー(介護支援専門員)へとステップアップできます。
介護福祉事業の介護技術のレベルは高くなっているといえるものの、社会的な評価や賃金が見合っていないといわれています。
現場では多岐に渡る仕事を担当し、激務といわれる環境の中で働いていても、低賃金では人材定着につながりません。
ロボットには代替できない人の観察眼や共感に基づくコミュニケーションなど、見えにくい技能の価値は正当に評価されるべきです。
最先端技術を使いこなせる硬的な技能と、人の尊厳に寄り添える柔軟な技能を合わせることで、高齢者が豊かな人生を支える原動力になるでしょう。