
介護福祉事業における売却とは、M&Aなどによる事業譲渡のことです。
深刻な人手不足や後継者不足の問題解決が急務である介護福祉事業では、事業継続と発展において前向きな経営戦略の1つといえます。
利用者の生活環境を守り、従業員の雇用も継続する有効な手段となるでしょう。
そこで、介護福祉事業が売却を検討する理由について、メリットや手順を解説します。
介護福祉事業が売却を検討する背景には、業界特有といえる構造上の課題が関係します。
現在、介護福祉業界は慢性的な人手不足と採用難が深刻化しており、有資格者の確保が大変難しい状況です。
人員配置基準の維持に向けて採用活動を止めるわけにはいかず、人員募集にかかるコストが経営を圧迫するため、思い切って売却を検討するケースも見られます。
また、経営者の高齢化で次世代の後継者へ事業を引き継ぎたいものの、候補者が不在で適任者がおらず、黒字であるにもかかわらず廃業を迫られる事業者も存在します。
介護福祉事業の売却は、単に会社や事業を譲渡するのではなく、次の3者にそれぞれメリットがある選択といえます。
・創業者
・従業員
・利用者
介護福祉事業の売却により、これまで築き上げてきた事業価値を現金化して、セカンドライフに充てる資金を確保できます。
介護福祉事業の売却により、買い手のグループ傘下に入ることになるため、従業員の雇用継続と処遇改善が期待できます。
介護福祉事業の売却により、サービスを一切途切れさせることなく、利用者が住み慣れた環境でのケアを継続できます。
介護福祉事業の売却は、専門の仲介会社と連携しつつ、以下の手順で進めます。
①専門のM&A仲介会社はアドバイザーと契約を結ぶ
②適正な売却価格を算定して資料を準備する
③買い手候補とマッチング面談を行う
④買い手の労務・財務の精査を受けて譲渡契約を締結する
⑤行政への届出や引き継ぎを行う
介護福祉事業のM&Aを成功させるためには、リスク管理と丁寧なコミュニケーションが重要です。
行政指導やペナルティリスク、コンプライアンス違反の有無などを前もって確認し、問題部分は適正化することが欠かせません。
また、事業売却により現場を動揺させないためにも、管理者などが優秀なスタッフをつなぎとめる離職防止に向けた配慮も必要といえます。