
介護福祉事業の入居率は、施設の経営状態を左右する指標といえます。
高齢化社会の進展に伴って、介護需要はますます高まっているといえますが、競争激化や人手不足深刻化により、入居率が上がらずに悩むケースも多く見られます。
そこで、介護福祉事業の入居率について、計算方法や低下によるリスクを解説します。
介護福祉事業における入居率とは、施設の保有する総部屋数(定員)に対する実際の入居利用者の割合です。
施設の健全経営レベルを示す指標の1つとされていますが、安定した収益の確保においては85〜90%以上の入居率を維持することが望ましいといわれています。
介護福祉事業の入居率は、以下の計算式で算出できます。
入居率=現在の入居者数(実稼働数)/施設の総定員数×100
優良な介護施設では、90〜95%以上の入居率を維持していますが、すべてのエリアではありません。
高齢者人口や施設数はエリアによって異なるため、競合との差別化や適切なマーケティングが求められます。
また、入居率を意識するだけでなく、損益分岐点にも注目しましょう。
損益分岐点とは、売上高と総費用が同額になる地点であり、赤字でも黒字でもない状態になる売上高や販売数量です。
そのため、損益分岐点を下回ると、赤字経営に陥ります。
入居率低下により、介護福祉事業ではキャッシュフロー悪化や人材流出を招くリスクを高めます。
コスト削減でサービスの質低下を生み、事業継続が困難になる悪循環を生む恐れもあるため注意が必要です。
入居率低下では、主に以下のリスクに陥る危険性が高くなると認識しましょう。
・収入減を引き起こす
・職員負担が激増する
・サービスの質が低下する
・資金繰りが悪化する
入居率低下は、介護施設運営における収入減を引き起こします。
利用者が少なくなれば、当然、国に請求する介護報酬も減少するため、基本報酬や加算の算定ができなくなります。
空室になった部分の家賃・水道光熱費などの収入がゼロになれば、居住費の損失で経営を圧迫します。
空室が発生しても、最低限必要とされる人員基準は満たさなければならないため、人件費の負担が重くなると考えられます。
入居率の低下で、ケアの質や安全性に不信感を抱かれると、ケアマネジャーから紹介してもらえなくなり、新たな利用者獲得がさらに遠のいてしまう悪循環に陥ります。
入居率の低下で、利益率が下がると、金融機関からの評価が低下します。
資金繰り悪化で、借入金のリスケジュールを余儀なくされる恐れもあります。