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介護施設運営で売上高が思うように上がらない場合に検討したいM&A

2020.10.25
分類:経営

介護ヘルスケア事業のみ切り出した売上高を確認した場合、業界最大手となるのはニチイ学館で、続いてSOMPOグループ、ベネッセスタイルケアという順でした。

介護施設を運営する介護業界は、利用者が自宅から通いながら介護サービスを受ける通所型事業と、介護施設などに居住しサービスを受ける住宅型事業があります。

売上高が順調な事業者などであれば問題ないでしょうが、もし事業継続が危ぶまれる場合や赤字続きという場合には、M&Aなどを検討することもあるようです。

そこで、それぞれの介護事業でのM&Aにおける傾向など確認してみましょう。

通所型事業の場合

通所型事業とはデイサービスなどを行う業態の事業所が該当しますが、要介護度が高くなくても気軽に利用しやすいことが魅力です。

ただし施設内に利用者が入居しているわけではないため、経営視点で見た場合ときには収支が安定しにくいという課題を抱えています。

新型コロナウイルスの影響により、利用者が多く長期的に休んでしまったという施設もあったことでしょう。このように利用者が頻繁に休むことや、数回利用したもののそれ以降は来所してもらえなかった場合などは、収入が安定しなくなります。

ただ、通所は気軽なサービスであることが魅力なので、初めて介護サービスを利用する方などにとっても足を運びやすいことが特徴です。そのため住宅型事業の潜在的な顧客が含まれていることも期待できると考え、通所型事業を送客パイプと位置付けて住宅型介護事業者がM&Aを希望することもあります。

 

住宅型事業の場合

住宅型事業は有料老人ホームやグループホームなど、施設に利用者が住む形で介護サービスが提供させる介護施設が該当します。

利用者の収入や要介護レベルなどで業態も細かく分けられているなど、経営的視点で見れば長期的な利用者を獲得しやすく収支が安定しやすいといえるでしょう。

さらに場所を選ばず開業することが可能で、たとえ立地が悪くても事業の性質上、一定の集客に期待が持てます。そして総量規制が存在することから、過当競争に陥りにくいことも魅力であり、M&Aのニーズも高いといえます。

 

M&A後は安心?

介護業界は今深刻な人手不足の問題を抱えており、超高齢化社会を背景に今後は市場規模がさらに拡大すると予測されます。

そのため限られた人材を奪い合うことになるので、どのように人手不足を解消するのかM&A以前に考えておかなければなりません。また、介護報酬の改訂により売上も変動してしまう業界のため、今は業績がよくても油断は禁物といえるでしょう。