介護施設を運営するため法人を設立すれば、法人税などの負担が気になるところでしょう。
ただし法人にも種類があるので、たとえば社会福祉事業を目的とした社会福祉法人を選ぶことで、税金の優遇措置を受けることが可能になるかもしれません。
社会福祉法人は法人設立における手続きのハードルは少々高くなるため、その点は留意しておくことが必要です。
介護施設を運営する上で、社会福祉法人を設立することを選択した場合、税金面では有利になる可能性が高くなります。
その理由として挙げられるのは、社会福祉法人は非課税項目が多いことです。
たとえば法人の所得に対する法人税では、通常ならすべての所得に課税されますが、社会福祉法人なら収益事業に関する所得のみ課税対象になります。
さらに収益事業の所得でも、法人税の対象とならない場合もあります。
消費税についても、原則課税を選んだときは課税対象となっても、簡易課税を選ぶことで収入の多くが非課税になることもあります。
さらに契約書や領収書発行によりかかる印紙税も、社会福祉法人ではかかりません。
社会福祉事業のために不動産を取得・保有するときも、税金の優遇措置が適用されるので不動産取得税や登録免許税がかからず、固定資産税も課税されないというメリットがあります。
他にも社会福祉法人ではみなし寄付金という制度が認められています。
みなし寄付金とは、社会福祉法人が法人税の課税対象となる事業で得た収益の一部を非収益事業に使ったとき、その使用分を寄付金とみなすという制度です。
みなし寄付金として認められた部分は法人税の対象になる所得から損金算入できるので、その分税額を抑えることができます。
非収益事業のために使ったということは、公益目的で寄付をしたとみなされます。自社のためでなく、社会のために使われたお金には課税しませんという制度であるため、みなし寄付金として認められればその部分には法人税が課税されない仕組みになっています。
みなし寄付金として認められる範囲は、200万円と寄付金支出前の収益事業所得の半分のうち、いずれか大きい金額です。
このように社会福祉法人は公益を目的として設立される法人であるため、法人税だけでなく様々な税金が優遇措置の対象となっています。