介護療養病床が廃止され、新たに創設された介護医療院へと転換されることになった理由は主に、介護保険支出を抑え国の財政支出の抑制といえます。
介護療養病床に入所する方1人あたりの月間費用は約41万円であるのに対し、老人保健施設は31万円と10万円の差があります。
介護保険が適用される介護型約12万床を老人保健施設に転換させれば、単純に計算すると月120億円、年間では1,440億円という大きな支出を抑えることが可能になるからです。
介護報酬体系の中でも高額な介護療養病床を廃止することで、財政支出を抑えたいと考えたことが一番の理由といえます。
しかし実際には、介護療養病床を廃止し老人保健施設に転換させることはうまく進んでおらず、転換期限も結局延長されました。2008年には療養病床再編を促そうと、転換型老健施設も創設されています。
転換型老健施設は在宅復帰を目指す老人保健施設と違って、介護機能だけでなく医療ケアも必要とする方を受け入れます。
ただ転換型老健施設への転換も進まず、その理由としては
・介護報酬の評価が低いこと
・診療報酬との連動性がないこと
・医療的ケアを必要とする重度の利用者の薬剤費が高くなること
・人材が不足していること
・新たに広さを設ける工事が負担となること
などが考えられるでしょう。
では介護医療院に転換することならメリットはあるのでしょうか。
考えられるメリットしては、
・施設を新たに設ける費用はかからないこと
・スタッフを新しく雇用しなくてもよいこと
・介護療養病床より診療報酬は少し高くなること
・移行支援加算がつくこと
・改装費の補助もつくこと
などです。
全国一律で病床を減少させず、都道府県別に増減させることで人口に見合う病床数に調整しようとしています。
減らした病床を介護医療院に転換することによって、既存の施設や介護人材などの資源も有効に活用できるだろうと考えた結果といえるでしょう。
そして国の医療費も削減可能となれば、様々なメリットを生むと考えられます。
ただ、介護医療院へ転換することで市町村の介護保険料は上昇する可能性がありますが、相対的にみたときには医療費より介護保険料の方が低くなるでしょう。