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介護施設でスタッフを休業させたときに活用したい雇用調整助成金とは?

2020.11.15
分類:経営

まだまだ収束することのない新型コロナウイルス感染症への対応について、介護施設でも頭を悩ませていることでしょう。

売上は減少する中、スタッフを休業させなければならない状況で休業手当も発生するなど、このままでは事業継続が難しいと感じている経営者も少なくありません。

このようなときに活用したいのが、厚生労働省の実施する「雇用調整助成金制度」です。

雇用調整助成金制度とは?

雇用調整助成金とは、事業主が経済上の理由で事業活動を縮小しなければならなくなったとき、スタッフの雇用維持を図るため労使間協定に基づいて休業を実施する事業主に休業手当などの一部が助成される制度です。

今回の新型コロナウイルス感染症の影響などにより事業活動の縮小を余儀なくされた場合、スタッフには一時的に休業してもらうことになります。解雇ではなく継続して雇用し続けるのであれば、休業している間の補償として休業手当や賃金を支払わなければならないでしょう。

しかし事業活動を縮小し、売上は低迷する中で休業手当・賃金などを支払うことは、事業主にとって大きな負担となります。そこでその一部を助成するために「雇用調整助成金制度」が設けられています。

新型コロナウイルス感染症の特例措置は12月末まで延長

新型コロナウイルス感染症の影響に伴って、助成金の対象など特例措置が設けられています。

特例措置は令和2年4月1日から9月30日までの緊急対応期間内の制度でしたが、雇用調整助成金の特例措置(他、緊急雇用安定助成金・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金など)は12月末まで延長されました。

特例措置の対象となるのは?

新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置は次の条件を満たすすべての業種の事業主が対象です。

・新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し事業活動を縮小している場合

・最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月と比べて5%以上減少している場合

・労使間協定に基づいて休業などを実施したことで労働者に休業手当を支払っている場合

そして助成の対象となるのは、雇用中の雇用保険被保険者に対して支払った休業手当などです。

学生アルバイトなど雇用保険被保険者ではない方の休業手当は、「緊急雇用安定助成金」の助成対象なので雇用調整助成金と同様に申請できます。

助成額と支給限度日数は?

(平均賃金額×休業手当等の支払率)×助成率(1人1日あたり15,000円が上限)で計算しますが、おおむね20人以下の小規模事業所の場合の平均賃金額は簡略化する特例措置も実施されています。

支給限度日数は、

・新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主…大企業2/3 中小企業4/5

・解雇をしていないなどの上乗せの要件を満たす事業主…大企業3/4 中小企業10/10

というように、大企業と中小企業でその割合が異なりますので、中小企業の場合にはより手厚い制度となっています。