介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護施設に外国人労働者を雇用することは人手不足解消に本当につながる?

2021.01.04
分類:経営

介護施設を含む介護業界の問題となっている人材不足解消のために、国は様々な施策に取り組んでいるといえます。

たとえば、

・介護職員の処遇改善

・離職防止や定着促進、生産性向上に向けた取り組み

・介護職の魅力のアピール

・外国人労働者の受入環境の整備

などが挙げられますが、それでもまだ人手不足に悩まされる介護施設は多いといえるでしょう。

日本は人口が減少しており、若い働き手も少なくなってきていますが、介護業界はその限られた若い世代からも敬遠されがちです。

そこで注目されるのが外国人労働者の受入れですが、それによって介護業界の人手不足問題は本当に解決されるのでしょうか。

新たな外国人労働者の受け入れ制度とは?

介護業界の人手不足はかなり深刻な状態となっており、有効求人倍率は3倍を超えている状況です。

人手不足を解消しようと、2019年4月には外国人労働者を受け入れる新しい制度が設けられました。

その新制度が「特定技能1号」ですが、特定産業分野に規定された複数の業種で、相当程度の経験や知識を求められる業務に携わることが可能な技術などを保有する外国人向けの在留資格を指しています。

一定の専門性や技能のある外国人労働者を受け入れることが、この在留資格により可能となるわけですが、特定産業分野として指定されているのは次の14業種です。

・介護

・ビルクリーニング

・素形材産業

・産業機械製造業

・電気・電子情報関連産業

・建設

・造船・舶用工業

・自動車整備

・航空

・宿泊

・農業

・漁業

・飲食料品製造業

・外食業

 

介護も特定技能1号の対象

在留資格「特定活動(EPA介護福祉士)」や「介護」の要件と比べた場合、特定技能1号には日本語能力は求められません。

ただし適度な日常会話を可能とし、生活に支障のない程度の日本語能力や、介護現場で働く際に必要とする日本語能力は必要です。

技術や日本語能力の水準などが実施される試験などで確認されることになります。

特定技能1号で働く外国人労働者は、最大5年間雇用することができます。

その期間中に介護福祉士の国家資格を取得してもらえば、在留資格「介護」に変更して日本で働き続けてもらうことも可能となります。

 

特定技能1号で外国人労働者を雇用する際の注意点

特定技能1号で外国人労働者を雇用するのなら、介護福祉士の資格を取得したいと感じることができるよう、介護の仕事を好きになってもらうことが必要です。

さらに受け入れる際にも、事業所単位で日本人常勤介護職員の総数が上限となり、訪問系サービスには就労させることはできないことを踏まえておかなければなりません。

求められる技術や日本語能力もEPAなどと比べれば低いため、教育やコミュニケーションへの支援も必要です。

不足する人手を補填する上で有効とはいえ、ある程度規模が大きく教育などにも人員を配置できる体制が整備されていなければ、即戦力として活用しにくい可能性はあると留意しておくべきでしょう。

ただし外国人労働者を教育し、戦力できる教育力が認められれば、評判も上がり採用力がさらに強くなる可能性はありますので、積極的に検討していきたいところといえます。