介護施設を利用する方の中には、これまで自宅で生活していたものの急に住む場所が変わり、慣れないところで不安を抱えている方も多くいます。
そのような利用者に対し、介護施設のスタッフができることは適切な介護ケア、そしておもてなしです。
利用者に接するときには、身体的なケアにばかり関心を払ってしまいがちですが、大切なのはその方がよりよく生きていくために何をすればよいか考え接することといえます。
利用者を支えるためのおもてなし精神を忘れず、介護現場で働くことが介護施設のスタッフに求められているといえるでしょう。
たとえば業種は異なりますが、サービスを提供する事業に飲食業があります。
レストラン経営者や接客スタッフには、ホスピタリティとサービスの提供が求められています。
サービスとは職務として役務を提供することであり、その対価が発生します。
ホスピタリティとは接客や接遇の場面だけではなく、人と人などとのかかわりにおいて具現化されるものであり、自発的な心遣い・気づかい・おもてなし精神のことです。
病気の治療を行う宿泊場所や末期がんなどの患者に安らぎを与え看護する施設をホスピスといいますが、この言葉からもホスピタリティという意味が理解できることでしょう。
介護施設でも、ホスピタリティ=おもてなし精神を重視しながらケアを行うことが必要です。
利用者が自宅にいる感覚でリラックスできるような環境を作ることや、提供される食事が 目や舌で楽しむことができるものにすること、それぞれのニーズや要望に合わせたアクティビティを導入することなどが具体的な取り組みとして挙げられます。
介護施設にもよりますが、個々人の要望に合わせ寄り添うことは簡単なことではありません。しかし1対1、または1対2で介護できるようになれば、気持ちに寄り添いやすくなるでしょう。
ただそのようなきめ細やかなおもてなし精神でのサービス提供を可能にするためには、介護現場に多くの人材が必要となります。
人手が不足したままでは質の高いサービス提供に至らないため、結局は今介護現場で問題となっている人材不足を解消することが重要といえるでしょう。
何がよい介護なのか、そして利用者にどこまで寄り添うことができるかは、介護スタッフそれぞれの考え方にも違いがあるといえます。
いずれにしても人手が不足している状況ではおもてなし精神でのケアは実現しないため、今後どのような対策で介護現場の人手不足が解消されていくのかが重要なポイントとなるでしょう。