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介護施設など介護事業の税務処理は実は複雑?

2021.01.22
分類:経営

介護施設など介護事業の税務の特徴として挙げられるのが消費税で、介護保険制度の居宅サービス・施設サービスは基本、非課税となっていることです。

介護事業では売上のほぼ100%が非課税売上になる扱いですが、本来消費税は前々年度の課税売上が1千万円超の場合に納税義務者になります。

ただし介護保険収入は非課税売上なので、売上が1千万円超でも課税売上が1千万円を超えなければ納税義務者にならないといえます。

介護事業でも課税売上となるものとは?

注意したいのは、課税売上と非課税売上をしっかり区別することであり、課税売上に含まれる介護保険対象外のサービスや物販などを間違って非課税売上にしないようにしましょう。

課税売上に含めなければならないケースとして、次のようなことが挙げられます。

介護保険対象外の上乗せ給付のケース

たとえば訪問介護で身体介護を行う場合でも、介護保険を利用するなら消費税は非課税ですが、自費であれば消費税が課税されます。

介護保険の対象外のサービスの提供

介護サービスを提供する上の延長線として、利用者が特別な食事や居室など、通常のサービスよりも贅沢なサービスを希望するときには消費税が課税されます。

また、利用者が介護サービス提供実施地域以外からの利用を希望する際の、交通費や送迎費用、特別な浴槽水の提供なども課税対象です。

福祉用具の販売

物品が身障物品であれば消費税はかかりませんが、身障物品でなければ消費税が課税されます。

 

運営基準を満たす会計処理が必要

なお、介護事業の会計処理も一般事業の会計と違って細かく区分しながら処理することが必要になります。

たとえば指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理区分を行い、指定訪問介護の事業会計とその他の事業会計を分けることが必要です。

会計単位分割方式では、施設や事業拠点ごとに仕訳帳と総勘定元帳を必要としますし、介護サービス事業ごとに仕訳帳と総勘定元帳を準備することになります。貸借対照表や損益計算書についても、事業拠点ごとの作成を必要とします。

運営基準が満たされなければ違反したことで、指導対象や取消の対象となるので注意してください。

経費にも個人経費と共通経費があり、個人経費はヘルパーの人件費などサービス提供と直接的に関係する経費を指し、共通経費は家賃など間接的にかかった費用などが含まれることになります。

共通経費もそれぞれの部門に按分し振り分けることが必要ですが、延利用者数割合を基準とすることもあれば、建物床面積や使用割合などで決めることもあります。