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介護施設で試用期間を設け人材を雇用するときはいつでも解雇できる?

2021.03.22
分類:経営

企業が人を雇用するとき、その人材が社員として適正のある人物か評価・判断するために設けられているのが試用期間です。

能力やスキル、勤務態度などを評価・判断していくための期間ですが、介護施設でも試用期間を設けることは少なくありません。

試用期間は長期雇用を前提の雇用契約で設けられますが、期間として定める長さは労働基準法などで明確に規定されていないものの、一般的には16か月くらいで設定されることが多いようです。

試用期間を設定する場合には、就業規則や労働契約書(雇用契約書)にその旨や内容を明記しなければなりませんので注意してください。

試用期間はなぜ必要?

介護施設などは人手が不足しているため、一人でも多くの人材を雇用したいと考えるものです。

しかし誰でもよいわけではなく、いざ現場で働いてみれば能力やスキルが不足していたり、勤務態度が悪かったりという問題が起きることもあります。

社員として雇用する上での適性を判断する上で、試用期間は必要といえるでしょう。

ただ、長期雇用を前提とした労働契約を結んでいるため、経歴詐称や出勤不良、勤務態度が悪いという場合などの理由がなければ試用期間内に解雇はできません。

解雇通知も通常の解雇と同じように30日前の予告、または解雇予告手当として30日分以上の平均賃金の支払いが義務付けられています。

例外として、試用期間開始から14日以内なら、これらの義務を果たすことなく解雇が可能です。

 

試用期間中でも社員と同様の扱いが必要

試用期間中でも、一部の短時間労働者を除いて社会保険には加入することが必要ですし、残業が発生した場合も社員と同様の扱いが必要となります。

採用した人材が一定の試用期間後に、正式雇用しないという結論に至った場合は解雇となります。

試用期間は法的には「使用者の解約権が留保された労働契約(解約権留保付労働契約説)」となっているため、本採用後に行われる解雇より広い範囲で解雇の自由が認められています。

ただし試用期間中だから自由に解雇できるのではなく、本採用に至らない理由には先に述べたとおり、提出された学歴や職歴に嘘の記載があったときや、予定された職業能力や業務適格性が欠如していると評価されたときでなければできません。

試用期間ではあるものの採用していることに変わりないため、解雇予告や予告手当だけでなく、解雇理由にも充分留意しておくようにしてください。