新型コロナウイルス感染拡大により、新規感染者数が増え、緊急事態宣言の再発令など介護事業者の経営にも様々な影響を与えています。
高齢者は介護事業所の利用を控えるようになり、コロナ対策で出費も増え、クラスターを発生させない取り組みなど経営者を悩ませていることでしょう。
実際、介護事業者の2020年の倒産件数は過去最多となり、今後はさらに増加する可能性もあるとされています。
全国で確認された介護事業者の倒産件数ですが、東京商工リサーチによると2020年は118件という結果で、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいといえます。
特に緊急事態宣言を受けたことにより、介護事業所の利用を控える動きが長期化することで、さらに倒産件数は増える可能性が高いともされています。
小規模事業者などは人手不足などで経営不振が続いている中、新型コロナの影響が大きな打撃となり、倒産件数を押し上げる結果になったといえます。
介護保険制度がスタートした平成12年以降、2020年の倒産件数は過去最多となりました。
中でも訪問介護事業が56件と、全体の半数近くを占めています。
次に多かったのがデイサービスやショートステイなど通所・短期入所介護事業で、全体の3分の1近い38件です。通所・短期入所介護事業の場合、大手企業との利用者の獲得競争が激化していることも、倒産増加の要因の1つになっているといえます。
いずれにしても従業員数が10人未満の事業所が8割以上を占めているなど、資金面での体力が弱いほど倒産に追い込まれやすいといえます。
訪問介護事業でヘルパーの人手不足が続いていることに加え、高齢者が新型コロナウイルスへの感染をおそれて、通所介護などの利用を控えていることなどが経営の悪化につながったということです。
設立から日が浅く、資金力の脆い小・零細事業者が息切れ倒産してしまったといえます。
経営が悪化する介護事業者が多く存在する中で、政府は2021年度の介護報酬について、プラス0.7%へと改定する方針も示しています。
それにより、介護事業者の経営の下支えになることも期待できますが、緊急事態宣言の再発令により、解除された後でも利用控えは長期化する可能性もあります。
感染防止対策を強化するなど、経費の負担がさらに経営を圧迫するとも考えられるため、経営者が事業継続を諦めてしまうかもしれません。
2021年も介護事業者の倒産件数は、増えてしまう可能性は十分に高いといえるため、事業者がサービスを継続させるための支援が不可欠と考えられます。