介護事業者が行う利用者に対するケアの中で、身体をきれいに保つために行う入浴介助は、事故や体調など注意しなければならないことがいくつかあります。
介護する上で欠かすことのできない介助の1つのため、どのようなことに注意をして入浴介助を行うことが必要かご説明します。
汗を流し、身体を清潔な状態に保つことは最低限の欲求であり、尊厳を維持する上でも入浴介助は欠かせないケアといえます。
清潔な状態を保つことができなくなれば、皮膚の疾患や尿路感染症などの原因になりかねないため、適切に入浴を介助することが必要です。
しかし、他人の身体を洗うことは簡単ではなく、どのような順番で行うべきかなど注意することもいろいろあります。
特に浴室は滑りやすいため、転倒しないように注意しなければなりませんし、気持ちよく入浴してもらう配慮も必要です。
入浴の際には、できるだけ体に負担をかけないために心臓から遠い足元からお湯をかけていきましょう。
また、お湯をかけるときには事前に声かけも必要です。
長時間の入浴は、めまいやのぼせなどの原因になりますし、脱水症状を引き起こすリスクを高めるため5分程度お湯につかるくらいに留めておくことが必要といえます。
また、髪→顔→上半身→下半身という順番で洗うことが一般的です。
入浴介助を行うとき、まずは次のようなことをポイントとして押さえておくようにしましょう。
入浴介助を通して、利用者の皮膚が乾燥していないか、傷などできていないか確認しましょう。
たとえば寝たきり状態の方でない場合でも、座っている時間が長い方は腰などに褥瘡(じょくそう)ができることもあるからです。
他にも病気やケガを理由とした皮膚の腫れやただれ、赤みなどができていることもあるため、異常はないか確認するようにしてください。
体調が良好でない状態で無理に入浴すると、かえって状態が悪化することがあります。
入浴ではなく、温かいタオルで体を拭くことや足浴などで身体の清潔を保つようにしましょう。
入浴介助では、利用者の身体のすべてを洗うわけではなく、本人ができることは自分で行ってもらうことも必要です。
特に羞恥心を伴う局部などは、可能であれば自分で洗ってもらうとよいですし、できることを本人にやってもらうことで日常生活動作を維持することにつながります。