2025年、団塊の世代が後期高齢者となるため、75歳以上が全体の約2割を占めることになると予測されています。
後期高齢者が増えれば、介護を必要とする方も増加すると考えられるため、介護事業者のニーズは高まると考えられるでしょう。
介護業界は成長産業であるといわれているものの、中には事業を継続できる廃業を選択したり倒産してしまったりという介護事業者もいますが、それらを踏まえM&Aの動きが活発化しているといえます。
介護施設の運営が厳しいと感じる介護事業者などは、施設を売却または買収するといったM&Aを検討することもあるでしょう。
介護事業所を売る側としては、
・施設に利用者が集まらない
・介護職員が定着せず、募集費用が莫大に掛かっている
・介護事業以外の本業に集中したい
・事業譲渡したくても信頼できる相手がみつからない
・小規模案件の場合にはM&A専門会社が対応してくれない
といった悩みを解決したいと考えています。
反対に介護事業所を買収したいと考える側は、
・既存の介護事業を拡大させて運営を効率化させたい
・総量規制のある介護施設の権利を得したい
・既存の介護事業を多角化していきたい
・新たに介護事業に参入したいものの知識がなく不安がある
などの問題を解決したいと考えているようです。
中小規模の介護事業者の場合、介護報酬が改定されたことが影響し、廃業という選択しかないという場合もあります。
人材不足に加え、経営不振で撤退するしかないといった理由により、廃業するくらいならいっそ事業を譲渡しようとM&Aを検討するケースが増えているようです。
M&Aによって介護事業所を廃止せず、施設で暮らす利用者や働く従業員を守ることができます。
介護施設を売却する介護事業者は、経営の安定化を図ることを主な目的としてM&Aを検討するでしょう。
反対に介護施設を買収する企業は、シナジー効果を得ることを目的に検討するはずです。
実際、介護業界でもM&Aによる合併・事業の売買や承継といった事例が数多くあります。
社会保障費は今後も増大することが予想され、3年ごとに介護報酬は改定されます。解消されない人材不足問題など、成長産業といわれている反面、解決できない問題は山積みといった状況です。
介護スタッフの処遇改善や技能実習生の受け入れ、介護ロボットの導入など、国もいろいろな施策を講じてはいるものの、抱える問題を解消するには至っていません。
そのような背景からM&Aが検討されやすいといえますが、新規で介護業界に参入することを目的としたM&Aでは、
・高齢者向けサービス市場での事業展開がしやすい
・自社の事業にシナジー効果をもたらす
・ノウハウを得た市場への新規参入が可能
・自社のノウハウを活かすことが可能
・市場での地位を確立できる
といったメリットが好まれているといえるでしょう。