コロナ禍の中、介護事業者と一緒に働く介護職員、医療従事者に対しての慰労金はすでに支給されていますが、2020年6月末までがその期間でした。
しかし野党4党は、2020年7月以降も新型コロナの患者に対応する介護職員や医療従事者に対し、再度慰労金を支給する法案を提出しています。
法案では感染者・濃厚接触者が発生した事業所で働く職員には20万円、2020年7月以降に新しく勤務し始めた職員には5万円と具体的な金額も提案されており、支給人数は約245万人となることが見込まれています。
しかし首相は引き続き必要な支援を実施すると述べるにとどまり、職員に対する再支給には慎重な姿勢を見せている状況です。
慰労金を職員に再支給する動きは、収束しない新型コロナ感染拡大の中、危険を冒しながら対応する医療や介護の従事者を支援し慰労するためです。
2020年に支給された慰労金は、介護分野の場合には感染者発生または濃厚接触者に対応した施設・事業所の職員などに対し5~20万円支給されています。
支給の対象となったのは、都道府県ごとで新型コロナ感染が生じた日と、勤務先で感染者受け入れが始まった日のいずれか早い日から昨年6月30日までの間に10日以上勤務した職員です。
この期間で10日以上勤務している実績が認められれば、正社員ではなくパートなど非正規雇用されている職員でも支給の対象でした。
依然として収束することなく、いまだに新型コロナウイルスは猛威を振るい続けており、高齢者が多く利用する介護施設でも感染防止対策などを徹底して行っています。
しかしいくら感染拡大させない取り組みを行っても、実際には多くの介護施設でクラスターが発生しているのが現状です。
クラスターが発生する中でも、利用者に対するケアを止めることはできず、介護職員は命の危険がある中で働き続けているといえます。
新型コロナ対策を考慮した第3次補正予算は2021年1月28日に参院本会議で成立しましたが、この中には介護職員に対する慰労金の再支給は盛り込まれていませんでした。
福祉分野の緊急包括支援交付金を積み増すことを目的に1,459億円が計上されていたものの、これはすでに実施されている事業の財源不足を補てんすることを目的としていたため、慰労金を再支給することは含まれていなかったのです。
介護分野に対する予算として計上された内容は、人材確保の就職の後押し、介護ロボット導入支援、防災に関する経費などであり、緊急的な今を打破するための内容とはいえません。
前回慰労金が支給されたときよりも、介護現場を取り巻く状況はより危険度を増している状況のため、慰労金の再支給などは再度検討されるべきといえるでしょう。