厚生労働省が2019年12月に行った、医療・介護分野での職業紹介事業者・求人者・就職者を対象とした職業紹介に関する実態調査によると、民間職業紹介事業者を利用した介護事業者では半年以内の離職率が4割弱だったことがわかっています。
介護スタッフの採用経路で最も多いのは民間職業紹介事業者28.3%であり、公共職業安定所(ハローワーク)は25.8%、あとは直接募集によるものが10.4%という割合でした。
入職後に介護事業者が求めていた能力や適性が備わっていない人材だったなど、民間事業者から紹介を受けて採用したケースでは雇用がうまくいっていないこともわかっています。
いずれにしても半年以内に4割弱が離職するのはあまりに高い割合のため、対策が必要といえるでしょう。
介護業界の離職率が高い理由として、深刻な人手不足が挙げられます。
どの介護事業者も人手不足に悩まされている状態であり、雇用された介護事業所を退職しても、すぐにまた別の介護事業所で採用されるなど職を見つけやすいことが離職率を高めているといえるでしょう。
実際、介護職の有効求人倍率は3倍を超えており、労働力の売り手市場であることはコロナ禍でも変わりません。
有効求人倍率が3倍ということは、1人の労働者に3か所の求人がある状態のため、職場環境や待遇に不満があればすぐに退職し次の職場を探そうとする方を増やしています。
介護職が離職してしまう理由として、最も多く挙げられるのは人間関係です。
施設長や管理職など、上司との人間関係が悪化してしまい、働きにくさを感じて辞めてしまう介護職もいるはずです。
他にもスタッフ同士の不仲やコミュニケーション不足、利用者との関係やトラブルなどが原因となれば、やはり居心地の悪さから退職してしまう結果となります。
そのため、離職率を下げるには、職場での人間関係をいかに円滑にするかが重要です。
パワハラなどが起きないように、管理職にも徹底して研修を行い、管理職自身の質を向上させることも必要となってきます。
職場内で精神的な暴力やハラスメント問題が起きないようにすること、介護職員の負担を軽減させる労務管理の見直しなども重要です。
介護分野の労働市場は売り手市場のため、早期退職されないよう魅力のある職場環境づくりを心掛けていきましょう。