介護事業者が運営する介護施設の部屋は、多床室型とユニット型など種類があります。
従来まで特別養護老人ホームなどは多床室型の施設が多かったものの、利用者に一律の流れ作業での介護サービス提供が一般的で、利用者の尊厳を守られていないとユニット型の施設が推奨されるようになりました。
ただ、ユニット型なら手厚い介護サービスを受けることができ、多床室型であれば雑なサービスになるというわけではありません。
ユニット型と多床室型、それぞれにメリットとデメリットはありますのでその違いを把握しておきましょう。
多床室型は従来型と呼ばれることもあり、古くからあるスタイルといえます。
集団ケアが採用されることとなり、いろいろな介護職員が複数の利用者をケアすることになるため、介護職員にとっては効率的にサポートしやすいといえるでしょう。
4人程度が1つの部屋で過ごすこととなるため、利用者も個室費用を負担する必要がなく、費用などが割安になることがメリットといえます。
介護保険制度が施行される2000年よりも前は、どの介護施設でも多床室型を採用することが一般的でした。
1つの部屋を複数人が利用するため、それぞれのスペースはベッドや仕切り用カーテンで仕切ることになります。
他の利用者の目に触れる部分はカーテンなどで隠すことができますが、たとえば紙オムツなどを使用している方などは、排泄介助の際に臭いや音まで隠すことができないためプライバシーが十分に守られる環境とはいえません。
対するユニット型の場合には、利用者に個室が割り当てられるため、プライバシーは十分に守られる環境で過ごすことができます。
5~9人がユニットになり、1人の介護職員がユニットごとに配置されます。
さらにユニットごとに設けられたリビングや食堂で、個室で過ごす利用者が集まりコミュニケーションを取ることもできるため、家族の雰囲気に近い環境で生活を送ることが可能となるでしょう。
ただし多床室型よりも、利用者が負担する費用は高くなってしまうことがデメリットです。
多床室型の場合、生活のスケジュールは施設全体で組むこととなるため、ユニット型よりもそれぞれの利用者の生活リズムは尊重されにくいことはデメリットです。
ただしユニット型よりも費用を抑えることができますし、孤立を感じやすい方などはむしろ多床室型のほうが安心できるという場合もあります。
多床室型とユニット型のどちらがよいかは利用者ごとに異なるため、何を重視するかによって決めるとよいでしょう。必ずしもユニット型施設が理想的というわけではないので、入所者のニーズに合わせることを可能とすることが最も望ましいと認識しておきましょう。