介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

人手不足の上に人件費高騰で厳しい状況にある介護事業者が増えている理由

2021.12.12
分類:経営

倒産してしまう介護事業者が多く見られますが、その原因は後継者が見つからないことの他、求人難や人件費高騰などいずれも人手によるものです。

後継者が見つからなければ事業を継続できなくなることはいうまでもありませんが、スタッフとして働いてくれる人材が確保できないことも理由として挙げられます。

さらに賃金など、人件費のコスト負担が大きいために収益が悪化してしまい、倒産してしまう人件費高騰によるケースもめずらしくありません。

人手不足と感じている産業は倒産しやすい

人手不足で悩んでいるのは介護業界だけでなく、たとえば建設業や製造業、卸売業なども同じです。

ただ、日本は高齢化が進み、今後ますます介護へのニーズが高くなると考えれば、人手不足の問題解消は介護業界にとって急務となっているといえるでしょう。

介護業界が人手不足で悩んでいるのは中間管理職が育っていないからで、特にバブル崩壊後に就職氷河期世代とされた1970年代生まれの大卒者たちのスタッフが定着していません。

その上、目先の人手不足を解消するために転職者を多く受け入れた結果、現場には中間管理職として社員を育成してくれる立場のスタッフが存在しない状態を作っています。

長く勤めてほしくても、想像していた仕事と違っていたりキャリアアップのビジョンが見えなかったりなど、様々な理由で辞めてしまい指導する立場の人材が圧倒的に足りません。

そもそも介護業界は採用に困難が伴うという特徴があり、近年では異業種からの新規参入も増えたことで、同業他社との人材獲得競争が激しいといえます。

大手よりも労働条件が良くない場合、募集を出しても人は集まることはないでしょう。

 

人件費高騰を回避しようと法令違反するケースまで

介護人材の需要は高まっていても、他産業と比べれば賃金は上がっていないため、待遇の悪さを感じ退職するスタッフもいます。

人件費高騰を理由に危機的状況にある介護事業所などは、外国人を職場に受け入れる技能実習制度などを活用し、日本で技術を学んで貰うという表向きの名目で、安価な労働力として利用されてきたケースも少なくありません。

しかしこのような法令違反は行うべきではありませんし、職場環境を整備し人材育成などにも力を入れ、人手不足が解消されやすい現場を作ることが必要です。

介護現場が働きやすければ、スタッフも長く勤めたいと感じるようになり、離職率も低下していきます。