介護現場で働くスタッフは離職率が高いといわれていますが、介護事業者の中にも人材不足で悩んでいる方は少なくありません。
しかし介護労働安定センターの「平成29年度 介護労働実態調査」による介護職員の離職率は年間16.2%で、厚生労働省の雇用動向調査結果の全体の平均離職率は年間14.9%だったことを見れば、それほど介護スタッフの離職率が極めて高いわけではないといえます。
それでも定着率の低さと離職率の高さは、以前から介護業界の問題として取り上げられることが多いのは、
・介護現場の人間関係の不和
・不規則な勤務形態が続いている
・賃金が低く上がる見込みがない
などに問題がある場合が多いからです。
そこで、介護事業者が離職率をダウンさせる取り組みを考えるのなら、この3つについて見直してみることが必要といえるでしょう。
働きやすい職場の要件の1つとして、人間関係が良好であることが挙げられますが、特に介護現場では様々な職種が1つのチームとなって利用者のケアを行います。
しかし職種同士が協力できていないかったりコミュニケーション不足だったり、仲が良いといえない状態では利用者に提供するサービスの質も低下するでしょう。
互いに協力しあう関係が築けておらず、ギスギスした人間関係では仕事を円滑に進めることができません。
人と人がつながることが重視される職場だからこそ、コミュニケーションや人間関係が重要であるため、関係が悪化していると離職率はダウンできないどころか上がる一方となってしまいます。
働きやすい職場を目指すためにも、現場の職員同士が円滑なコミュニケーションを取れる環境を整えることが必要です。
介護現場といっても色々なサービス提供事業者がありますが、24時間365日、ケアを必要とする入所型の施設などでは不規則な勤務体系となりがちです。
早出・遅出・夜勤など、シフト勤務になることが一般的ですが、たとえ夜勤手当などを受け取ることができたとしても、生活リズムを整えにくく体力的に負担が大きく感じてしまいます。
この不規則な勤務形態を理由に辞めてしまう職員もいるため、たとえば夜勤専門のスタッフなどを雇用すればある程度問題は解決されるでしょう。
介護現場の仕事は3Kで表現されることも多いほど、激務で身体的な負担は大きいのに給与は安いと捉えられがちです。
実際、他の職種よりも賃金は低めといえるため、キャリアアップを目指す方などは見込みがなければ辞めてしまいます。
介護職の処遇は国の改善策により、少しずつですが年収アップにつながってはいます。
しかし介護事業所独自のキャリアアップ制度などを設けることで、将来性を見込める職場だと認識してもらうことができ、離職率をダウンさせることにつなげることができるでしょう。