介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護事業者必見!2021年度介護報酬改定で基本報酬はアップしても減収するリスク

2021.12.25
分類:経営

2021年度の介護報酬改定により、+0.70%の改定率となり上がった分は基本報酬の引き上げに充てられました。

しかし加算を全体で見るとプラスマイナスゼロにする財政中立観点からの見直しが行われています。

そこで、介護事業者が把握しておきたい2021年度の介護報酬改定による減収リスクについてご説明します。

改定前では通用しなくなった要件

2021年度の介護報酬改定では、0.70%のプラスのため、基本報酬が上がれば特に問題なく増収すると考えていた介護事業者もあったはずです。

しかし改定により、新設加算や既存加算の上位区分の算定ができていなければ減収するケースも出てきます。

その例として挙げられるのが、加算の見直しが大幅にあったデイサービスなど通所介護です。

通所介護の基本報酬は、通常規模型・大規模型(I)(II)は1%程、地域密着型では1.5%程のアップという改正でした。

しかしその一方で加算は大幅に見直しがあり、入浴介助加算や個別機能訓練加算で減収リスクが発生します。

入浴介助加算は2区分への再編となったため、改定前と同じ算定要件の加算(I)は140単位に10単位ダウンしています。

そして今回、上位区分に加算(II)(155単位)が新設されていますが、この加算(II)の算定要件を満たすためには、医師・介護福祉士・理学療法士などが利用者宅を訪問して利用者自身で入浴可能となるよう浴室環境を踏まえた個別入浴計画の作成が必要です。

従来までの方法で入浴介助を行うと加算(I)で算定するため、110単位マイナスが適用され、基本報酬増額分は相殺されることになるでしょう。

 

算定できなければ減収に

個別機能訓練加算を見ると、改定前の旧加算(I)(身体機能向上を目的とする146単位)と旧加算(II)(生活機能向上を目的とする156単位)は、加算(I)イとロに再編されました。

なお、改定後の算定要件として、機能訓練指導員が個人または5人程度以下の集団に直接、プログラムを実施しなければなりません。

従来までは旧加算(I)だった事業所の場合、機能訓練指導員から指示された介護職員が大人数に対しプログラムを行ったりトレーニング機器を使ったりというケースが多かったですが、改定後は同じ方法では通用しないということです。

他にも科学的介護情報システム(LIFE)にデータ提出することを算定要件とする新設加算などがあり、これらの算定ができない状態では減収になると留意しておいてください。