公益財団法人介護労働安定センターが2020年度に実施した「介護労働実態調査」を確認すると、介護職の高齢化は年々進んでいることがわかります。
すでに全体の23.8%は60歳を超え、年々、60歳以上の介護職は増加傾向にあり、平均年齢も49.9歳と年々上昇しています。
そこで、介護職の高齢化が進むことでどのような問題が起きるのか、今後はどのような取り組みが必要なのか説明していきます。
介護現場で介護職員として働く方のうち、最も多いのは40歳代のスタッフです。
次に多いのが50歳代で、60歳代と続きます。
30歳未満の介護職員は1割にも満たず、現場の高齢化が進んでいるといえるでしょう。
介護事業所は「定年制度」を設けていないケースもあり、制度を設けている場合でも定年到達後の継続雇用制度として6割以上が「再雇用制度」を導入しています。
残りの2~3割は「勤務延長制度」を導入するなど、定年を迎えた後も引き続き働くことができ、雇用限度年齢の定もされていないことが多いようです。
若い世代の入職者が集まらず、高年齢者の労働力に頼らなければならない状況にある介護業界の実態が浮き彫りになっているといえるでしょう。
日本の高齢化と要介護者の増加で、令和7年で必要とされる介護人材は約245万人とされています。
年間約6万人の介護人材を確保しなければなりませんが、すでに現場で働いている介護職員の離職防止や定着に向けた取り組みも重要です。
たとえば、
・労働環境を改善する
・非正規職員から正規職員に転換する
・介護ロボットやICTを活用する
といった取り組みが考えられます。
介護現場は常に忙しい状態ですが、人材不足である状況の中、介護以外の書類作成業務なども発生してしまうため、残業しなければならない介護職員も少なくありません。
さらに人手が足りていないために有給休暇も取得しにくい状況であるため、介護職員の定着率を高めるためには労働環境の改善が欠かせないといえます。
また、介護のスキルが高くても非正規雇用では将来性に不安を抱えたまま働くことになるため、正規職員へ転換することで離職を防ぐことができます。
最後に介護ロボットとは、高齢者の自立支援や介護者の負担軽減のための介護機器ですが、センサー機能により遠隔地から高齢者を見守ったり移動支援したりなどいろいろな種類があります。
利用者とコミュニケーションを取る機能などが搭載されたロボットなども注目されつつありますが、介護記録やシフトの管理などもICTを活用すれば介護職員の負担を軽減できるため、定着につながることが期待されます。