年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に、心身の疲労回復やゆとりある生活保障のために付与される休暇です。
事業者は、労働基準法の有給休暇制度の規定を正しく理解し、労働者の有給休暇に対する適切な管理を行うことが必要といえます。
「有給」は給料が発生することを意味するため、仕事を休んだ場合でも賃金が減給されることのない休暇であることが特徴です。
そこで、年次有給休暇について、福祉事業者が職員に付与するべき休暇制度を紹介します。
「年次有給休暇」とは、一定期間勤続した労働者に、心身の疲労を回復するなどのために付与される休暇です。
賃金が発生する上で休暇を取得できるため、休んでも賃金は減額されません。
年次有給休暇が付与される要件は、主に以下の2つです。
・雇い入れ日から6か月経過している
・雇用期間の全労働日の8割以上出勤している
この要件を満たした労働者には、10労働日の年次有給休暇が付与されます。
年次有給休暇を付与する時季は、労働者の請求時季に与えなければなりません。
ただし請求する時季に年次有給休暇を付与すると、事業が正常運営できないときにのみ、他の時季での付与とすることができます。
年次有給休暇を付与しないという選択はできないため、別の時季での付与に代わるだけです。
年次有給休暇は、「年休」「有休」「有給」「有給休暇」など呼ばれ方はいろいろですが、いずれも年次有給休暇の省略した呼び方です。
「有休」は有給休暇の略であり、「有給」は有給休暇の略と合わせて給料は発生することを意味しています。
年次有給休暇は、労働者に年5日取得させなかった場合、30万円以下の罰金の対象となる点に注意しましょう。
福祉・介護の事業で職員が請求する時季に、有給休暇の取得を認めなかったとき、就業規則に記載がなければ30万円以下の罰金が科せられます。
厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査の概況」による介護職を含まむ「医療、福祉」の労働者1人あたりの有給休暇平均付与日数は16.5日でした。
平均取得日数は9.6日で、平均取得率は58%という結果になっています。
福祉や介護の業界は人材不足であるため、現場の職員が休暇を取得することで、一人一人の職員の負担が大きくなる恐れもあります。
安心して休暇を取得できる職場環境づくりが必要といえます。