労働基準監督署とは、労働関係の法律に基づき、企業の監督や労働者保護に関する業務を行う機関です。
福祉や介護の業界は慢性的な人手不足のため、労働基準法など法令違反に該当する事業所も少なくないといわれています。
しかし労働基準監督署の立ち入り検査で法令違反が発覚すれば、罰金刑などが科される恐れもあるため、法律を守って運営することが必要です。
そこで、労働基準監督署について、福祉事業の立ち入り検査の種類や実施されるタイミングを紹介します。
「労働基準監督署(労基署)」とは、厚生労働省の出先機関であり、労働基準法や労働安全衛生法などの労働関係法令に基づき、企業の監督や労働者の保護の業務を担当する行政機関です。
主に、以下の業務を行っています。
・労働基準法に基づく企業の監督・指導
・労働安全衛生法に基づく特定機械の検査
・労働者災害補償保険法に基づく労災保険支給の調査
・労働者の申告・相談の対応
・労災の原因調査と再発防止対策の指導
・重大な法律違反への送検処分
・使用者に対する説明会開催
労働基準監督署の「立ち入り検査」とは、臨検監督といわれる検査で以下の種類に分類されます。
・定期監督
・申告監督
・災害時監督
・再監督
それぞれ説明します。
「定期監督」とは、地方ごとの労働基準監督署が定期的に行う立ち入り検査です。
検査される内容は、毎年4月頃に厚生労働省策定の「地方労働行政運営方針」で決められます。
「申告監督」とは、従業員や退職者による通報内容に基づいて行う立ち入り検査です。
たとえば給与や残業代の未払い、不当解雇などに関する通報があったときに実施されることが多いといえます。
「災害時監督」とは、労働災害が発生したことで、原因究明や再発防止の調査が必要と判断された場合の立ち入り検査です。
「再監督」とは、定期監督・申告監督・災害時監督で事業所に是正・勧告が出されたとき、改善報告書は提出されても実際に改善されたか確認するための立ち入り検査です。
改善報告書が提出されなかったときにも実施されます。
立ち入り検査を行うときには、原則、事前の予告はありません。
そのためある日突然、労働基準監督署の監督官が訪問し、従業員に事情聴取をして関係書類を確認されます。
普段から労働関係の手続は適正に行い、書類も保管しておくことが大切です。