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福祉・介護事業における夏季休暇とは?他の休業明けに日数の調整は可能か解説

2025.04.17
分類:総務

福祉・介護事業所でも、78月には夏季休業を設けることが多いといえます。

 施設によっては24時間365日稼働しているケースはあるものの、現場で働く職員も、子どもの夏休みに合わせて夏期休暇の取得を希望する場合もあります。

 就業規則により、途中入職者や病気休職者など通常より少ない勤務日数の人に付与する夏季休暇日数は、勤務日数に応じた逓減の規定をしているケースも見られます。

 この場合、たとえば介護休業を取得していた方について、休業明けの勤務日数に応じて、夏季休暇日数を通常より少ない日数に調整しても問題ないでしょうか

 そこで、福祉・介護事業における夏季休暇について、他の休業明けに日数の調整は可能か解説します。

不利益取扱いに注意が必要

 休業明けの勤務日数に応じて、たとえば夏季休暇日数を通常より少ない日数に調整する場合などは、マタニティハラスメントやケアハラスメントとの関係に注意が必要です。

 マタニティハラスメントとは、妊娠・出産・育児に関わる女性労働者に対する不当な扱いや嫌がらせといえます。

 ケアハラスメントは、働きながら介護をする従業員への嫌がらせや、必要な制度を利用させない不利益な行為全般です。

 理由として不利益取扱いの解釈は、まず直接理由としない場合でも、契機として不利益取扱いが行われれば、理由としての不利益取扱いが行われたものと解されます。

 妊娠・出産・育休などの事由終了から、1年以内に不利益取扱いがなされれば、契機としていると判断されるため注意が必要です。

 育児休業などの申出・取得を理由とした不利益取扱いの例として、以下が挙げられます。

 ・解雇をする

・期間を定めて雇用される者の契約の更新をしない

・契約の更新回数の上限が明示されている者の回数を引き下げる

・退職または正社員をパートタイム労働者などの非正規雇用社員にするなど労働契約内容の変更を強要する

・就業環境を害する

・自宅待機を命ずる

・労働者が希望する時間を超えて、意に反した所定外労働の制限・時間外労働の制限・深夜業の制限・所定労働時間の短縮などを適用する

・降格させる

・減給する

・賞与で不利益な算定を行う

・昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う

・不利益な配置変更を行う

など

 なお、労働基準法では、年次有給休暇の出勤率の算定において、労災休業期間・産休期間と同じく、育児休業期間・介護休業期間を出勤とみなすとしています。

 法律上、夏季休暇の算定で介護休業期間を差し引くことが禁止されているわけではないものの、慎重な検討を行うべきといえます。