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介護職員の定着率はなぜ低い?反対に離職率が上がる理由とは

2020.04.25
分類:総務

日本は高齢化社会となり、介護施設で働く介護職員への需要が常に高い状態をキープしています。しかしニーズが高い状態でありながら、介護施設で働く介護職員の定着率は低いままで、雇用してもすぐに退職してしまうなど離職率の高さが問題となっている状況です。

人手が足らず求められている業界でありながらすぐに辞めてしまうと、また新しい人材を雇用しなければならなくなりますが、人手不足の中で教育なども行き届かずまた定着率を下げてしまうといった悪循環に陥っています。

そこで、なぜ介護職員の離職率は高く定着率は上がらないのか、何を理由に退職してしまう傾向が高いのかなどご説明します。

他産業よりも離職率が高い傾向

介護施設で働く介護職員が1年という期間においてどのくらい離職しているのかというと、介護労働安定センターの2017年度にける介護労働実態調査では16.2%という結果でした。

このときのすべての産業の平均離職率は15.0%だったので、全体でみたとき離職率は高めの傾向であるといえます。

勤続年数による違いを確認すると、1年未満で離職してしまう方は38.8%であるのに対し、1年以上3年未満で離職する方は26.4%の割合です。ただ、3年以上で離職する方も34.9%と上がっていることから、年数の長短はそれほど関係ないといえるものの、やはり1年未満で離職する方が多い結果となっています。

 

なぜ介護職員の定着率は低いのか

ではなぜ介護職員の離職率が高いのか、いろいろな理由がある中でもっとも関係すると考えられるのは人間関係です。

介護職員同士の人間関係だけでなく、看護師と意見が合わなかったり利用者からのクレームや暴言があったりなど、人間関係が複雑になりやすい職場環境なだけにその影響があらわれやすい状況といえます。

他にも職場環境や待遇の悪さ、賃金の低さなど、様々な問題が関係しています。

国も介護職員の離職率を低下させようと、介護職員等特定処遇改善加算を開始するといった対策を行っていますが、基本的な改善策に至っていない状況です。

 

政策だけに頼らない取り組みが必要に

ただいずれもある程度介護施設側で解決できる部分のあるはずなので、介護職員が安心して働くことができる環境整備がより重要になると考えられます。

介護業界は人手不足が顕著化しているため、今以上に離職率が上がり定着率が下がる状況が続くと、将来的に多くの高齢者を支える人材が誰もいなくなり業界自体の存続が難しくなってしまいます。

国による対策や制度の改革も期待したいところですが、運営する施設側でもできることからはじめていくことが必要となるでしょう。