
減給とは、従業員の給与を減額する処分です。
規律違反に対する懲戒処分として行うケースもあれば、人事評価や経営状況の変化で実施する場合もあります。
ただし、懲戒処分として行う減給は、労働基準法で限度額が厳しく定められています。
そこで、福祉事業における減給について、賃金カットとの違いと上限を紹介します。
減給とは、従業員の給与を減らす懲戒処分です。
一定期間に一定割合で賃金を減額する処分であり、労使合意によるケースと、減給における合理的な理由で一定条件を満たした措置による場合があります。
一般的には、合理的な理由があり、一定条件を満たした上で行う措置としての減給が多いといえます。
減給と賃金カットは、どちらも従業員の給料を減らすことは共通しています。
ただし、減給は従業員の規律違反などに対する措置であるのに対し、賃金カットは会社側の経営状況悪化などを理由に労働条件を変更することです。
従業員の給与は、ノーワーク・ノーペイの原則のもとで支払われます。
そのため、従業員が働いていない分の賃金については、支払い義務はありません。
仮に、予定していた出勤日に欠勤や遅刻をしたことで、予定していた時間に働かなかった場合は、賃金カットで給料を減らせます。
その一方で、減給は懲戒処分の手段としての減額処分のため、予定通り仕事をしていた場合でも処分の対象であれば実行されます。
減給を可能とする金額には上限があり、一回あたりの減給金額や期間が制限されています。
労働基準法に基づく懲戒処分としての減給の上限は以下のとおりです。
・1回の減給額は平均賃金の1日分の半額まで
・減給の総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1まで
法律上の制限を超える減給は違法であり、遵守しなければ罰則の対象となる可能性があるため注意しましょう。
この上限は、労働者の生活が脅かされることを防ぐために設けています。
さらに、企業など使用者側の減給処分の恣意性を排除することも目的としており、客観的に妥当な減給金額の計算においての規定でもあります。
減給の上限の基本の考え方は、以下の計算式で算出できます。
平均賃金日額=減給処分の直前の賃金締切日から3か月間の賃金総額÷3か月間の総日数
1回当たりの減給限度額=平均賃金日額×0.5
平均賃金の1日分の半額を超えてはならないため、注意しましょう。
度重なる懲戒処分に該当するケースでも、一賃金支払い期での減給総額は賃金総額の10分の1を超えることはできません。
最低賃金で雇用する労働者の減給は最低賃金を下回る恐れもありますが、減給は所得税などと同じく法令による控除に該当するため、手取り額が最低賃金を下回ったも違反にはなりません。