
福祉事業者における介護報酬担保とは、経営安定化に必要な金融手法の1つといえます。
国保連(国民健康保険団体連合会)から入金されるのは、実際にサービスを提供した2か月後であるため、資金繰りが悪化しやすい状況です。
業界特有のキャッシュフロー構造の問題を解決する手段として、将来入金される予定の介護報酬債権を担保に、融資を受ける仕組みが利用されています。
介護報酬担保融資は、入金のタイムラグを埋める手法であり、制度上の弱点を克服できるサービスともいえるでしょう。
そこで、福祉事業者における介護報酬担保融資について、利用における注意点を解説します。
介護報酬担保による融資は、事業者の将来受け取る介護報酬請求権を、銀行・独立行政法人福祉医療機構(WAM)・民間金融機関に担保として差し入れ、お金を借りるスキームです。
福祉業界は、報酬制度に基づいた運営となるため、売掛先は公的機関となります。
売掛先が民間企業ではない分、一般的な中小企業融資よりも売掛債権の貸し倒れリスクは極めて低く、不動産担保などを所有していなくて好条件で融資を受けやすいといえます。
福祉事業者の介護報酬担保融資の利用が進む背景には、抱えている経営課題が関係します。
深刻な人手不足に対応するために、職員の賃上げなど処遇改善を実施する福祉事業者は少なくありません。
しかし、従業員の給与支払いは、介護報酬の入金よりも先行するため、一時的に補てんする運転資金の確保が必要です。
また、現場の生産性向上に向けて、DX化を進める上でのデジタル投資も急務となっていますが、初期費用を融資で賄うケースも増えています。
介護報酬担保融資を利用するときの注意点として、将来のキャッシュフローを前借りしていることが挙げられます。
この場合、介護報酬は、直接、金融機関へ振り込まれる譲渡担保であることがほとんどです。
そのため、収支計画を誤れば、将来的な運転資金が枯渇してしまう恐れもあるため注意しましょう。
厚生労働省が介護経営を可視化する流れから、財務諸表を公表することも義務付けられています。
介護報酬担保融資においても、債権が担保にできること以外に、経営の質の維持やコンプライアンス遵守なども評価されると考えられます。