介護施設などでは、利用者だけでなくその家族、スタッフ同士など人とのコミュニケーションは欠かせません。
しかしいろいろな方たちが利用する場所なので、特に利用者とのコミュニケーションが難しいと悩む介護スタッフは少なくないようです。
そこで、介護現場で円滑にコミュニケーションを取るためにどのようなことに注意すればよいのか、その基本をご説明します。
利用者の言葉をただ聞くのではなく、その奥に隠れた気持ちをくみとりながら傾聴することが必要です。
その上で、利用者から発せられる言葉と感情をありのまま受け入れ、気持ちを理解し寄り添うようにしましょう。
利用者に心を開いてもらうには介護スタッフ側が心をオープンにすることが必要です。家族や趣味など、自分のことを相手に話ながら話題を広めていくのも方法といえます。
利用者と会話をする際にも、忙しく時間がないからと早口で話しをしたり、聞く姿勢を保てなかったりといったことは避けるべきです。
間をおきながら落ち着いた態度で接するようにし、仮に時間的なゆとりがなくても精神的なゆとりを持つことが必要となります。
声の強弱・長短・抑揚・速度など、自分の気持ちを伝えるためにも意識しておきたい部分です。
会話の中で親しみを込めることは大切でも、人生の先輩である高齢の方に対しなれなれしい言葉遣いで話しかけ、不快な思いをさせないようにしてください。
自分本位ではなく相手本位の言葉を使うことが大切であり、否定的な言葉は避けるようにします。その上で、高齢者の会話や話すペースに合わせ、ゆっくりと丁寧に話すことを心掛けましょう。
言葉以外のコミュニケーションには、身だしなみ・表情・目線や視線・姿勢や動作などの非言語的コミュニケーションがあります。
第一印象を左右することとなる身だしなみも非言語コミュニケーションの1つです。清潔感のある装いで、好印象を与える笑顔を基本とした対応を行いましょう。ただし利用者が悲しみや怒りなどの感情を抱えているときには笑顔を慎み、共感を示したほうがよいといえます。
目線は利用者と同じ高さに近づけ、傾聴するときには正面の席を避けます。椅子に深く座り、軽い前傾姿勢をとって聴こうとする意欲を伝えることも大切です。
認知症やうつ病の方への対応は、配慮の行き届いたコミュニケーションが必要になりますので、専門知識や技術などを身につけていくことも求められます。