介護事業での会計は、介護サービス単位で行うことや、按分率による経費配分などが必要な特殊なものです。
複雑でわかりにくいと感じる経理担当者も少なくないでしょうが、指定された方法で会計処理ができていないと指導など受けてしまうことになります。
決算書も法人の形態により、損益計算書が必要な場合とそうでない場合があるため、介護事業での会計の内容をしっかり把握しておきましょう。
厚生労働省からの通知である「介護保険の給付対象事業における会計の区分について」で指定されている方式を介護会計といい、複雑なため経理担当者を悩ませるところでもあります。
介護サービス事業所ごとに経理の区分が必要であり、介護事業の会計はその他事業の会計と区別することも必要です。
会計の区分が行われていなければ、運営基準違反と判断され指導の対象になるため必ず適切な会計処理を行うようにしてください。
介護事業の決算書作成の目的は、行政や税務署に対して報告資料として使うこと、株式会社などで株主や金融機関に説明するときや実績を報告するための資料として使うこと、さらに事業継続や成長の判断材料として使うことなどが挙げられます。
記載内容は、社会福祉法人の場合には貸借対照表・資金収支計算書・事業活動計算書・財産目録などが必要となり、株式会社であれば貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表などが必要です。
それぞれの法人に適用される会計基準などに従い、決算書の作成が必要です。介護事業の数値をしっかりと把握できる内容で作るようにしましょう。
たとえば所有するビルで訪問介護事業・通所介護事業を行い、さらに不動産賃貸業も行っているとします。
この場合、訪問介護・通所介護・不動産賃貸業それぞれの収支状況を個別に把握しておき、合算した数値を使って決算書の作成を行います。
企業全体の収支状況が把握できる決算書を作成したら、その後で按分基準などに従い配分を行い、訪問介護と通所介護、それぞれの事業の収支状況を把握できるようにしておくことが必要です。
なお按分とは、費用の中で複数の事業所やサービスにまたがり共通する経費がある場合、事業ごとの専有面積の割合や勤務時間の割合などの合理的基準を用いて、それぞれの事業所・サービスに配分することを意味しています。