介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護施設で提供される食事は消費税増税の影響を受ける?

2020.10.06
分類:総務

消費税が201910月から10%に増税されてから、介護付有料老人ホームで提供される食事なども影響が心配されることがあるようです。

実際、介護付有料老人ホームで提供されている食事やおやつにも消費税が課税されるのかという問題について、過去には国税不服審判所で争われていた事例がありました。

その裁決を参考に、内容をご紹介します。

食事やおやつの提供は消費税課税の対象

結論から伝えると、有料老人ホームで実施されている食事やおやつの提供は、どちらも消費税法上の非課税取引には該当しないとされています。

有料老人ホームは各法律で位置づけが少し異なっており、まず介護保険法では有料老人ホームで提供されるサービスは入居者に対し一定の計画に基づいて行われる入浴・排せつ・食事などの介護、洗濯・掃除などの家事その他日常生活上の世話などとされています。

それに対し老人福祉法では、有料老人ホームは老人を入居させて入浴・排せつ・食事の介護、食事の提供、洗濯・掃除などの家事または健康管理の供与をする施設となっています。

消費税法では、有料老人ホームで提供されるサービスのうち、介護保険法上の居宅サービスは利用者の選定により提供されるものを除いて原則、消費税は非課税とされています。

老人福祉法上の有料老人ホームは食事の提供が前提となっているのに対し、介護保険法では食事などの介護は含まれているものの食事の提供まで含まれていません。

そのため介護付有料老人ホームで提供される食事は、消費税法の非課税取引には該当しないとされたのです。おやつの提供も飲食物を提供することにかわりないため、食事同様に非課税取引には該当しないとされました。

 

食材費の徴収は非課税?

介護・福祉事業の消費税の扱いを判定することは困難であり、食事の提供ではなく食材費の徴収は非課税という見解もあるなど、混乱を招きがちです。

もし知らずに食事の提供は消費税非課税と判断していた場合、税務調査で過去3年間にさかのぼり運営する法人などに修正申告を求められる可能性も考えられますので注意しておきましょう。

なお税務調査で自主修正申告を求められたものの、その内容に納得できず行わないときには行政処分が下されてしまう可能性があります。

その場合、異議申し立てを税務署長に行うことはできますが、異議申し立てに対する結果が納得のできるものでなければ国税不服審判所に審査請求も可能です。

裁決に納得ができないと、国を相手取り訴訟という形になりますが、税務調査などでトラブルにならないためにも正しい会計処理を心掛けるようにしてください。