介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

2021年度の介護報酬改定はコロナ禍で厳しい介護事業者を救うのか?

2021.08.15
分類:総務

新型コロナウイルス感染拡大の影響などで、介護事業者には大変厳しい環境が続いていますが、2021年度の介護報酬改定は改定率+0.70%という軽微なプラス改定がされています。

そこで、今回の介護報酬改定の軸のうち、感染症や災害への対応力強化についてどのような内容となっているかそのポイントをご説明します。

感染症や災害の対応力を強化することが目的

新型コロナウイルス感染症や大規模災害などが発生したときでも、介護事業者は利用者が必要とするサービスを安定・継続して提供しなければなりません。

そのための体制を構築することを目的とし、次のような改定が行われています。

感染症対策を強化する取り組み

感染症が発生しまん延した場合などに備えて、介護事業者は取り組みを徹底して行うことが必要です。

従来までは介護サービスの種別ごとに定められていた措置は異なるものでしたが、それらも踏まえて整理されることとなり、次の取り組みが義務づけられています。

・施設系サービスは現在でも3か月に1回以上は委員会を開催し指針の整備、研修実施などを行うこととされていますが、それに加えて訓練・シミュレーションも実施することが必要

・その他のサービスは、6か月に1回以上の委員会を開催し指針の整備、研修実施、訓練・シミュレーションの実施を行うことが必要

なお、いずれも3年の経過措置が設けられています。

業務を継続するための取り組み強化

感染症や災害が発生したときにも、必要とされる介護サービスを継続して提供できる体制を構築させるため、すべての介護事業者に次の取り組みが義務づけられています。

・業務継続に向けた計画などの策定・研修実施・訓練やシミュレーションの実施など

なお、こちらも3年の経過措置が設けられています。

災害に対し地域と連携した対応を強化する

災害への対応は地域との連携が欠かせないため、非常災害に関する計画を策定し、関係機関との連携体制を確保しておくことが必要です。また、避難等訓練など非常災害対策が必要な介護事業者を対象として、次の取り組みが定められています。

・通所系・短期入所系・特定・施設系サービスは、避難等訓練を実施するにあたり地域住民が参加できるよう連携に努めること

通所介護などの事業所規模ごとの報酬に関する対応

感染症や災害が影響したことで通所系サービスの利用者数が減少したとき、安定したサービス提供を目的として足下の利用者数に応じ柔軟に事業所規模別の各区分の報酬単価による算定を可能とするとしています。

臨時的な利用者数減少に対応するため、評価を次のように設定しています。

・より小さい規模区分がある大規模型は、事業所規模別の報酬区分を決めるにあたって、前年度の平均延べ利用者数ではなく延べ利用者数減が生じた月の実績を基礎とできる

・延べ利用者数減が生じた月の実績が、前年度の平均延べ利用者数より5%以上減少しているときには、3か月間基本報酬が3%加算される