働き方改革関連法の主要テーマともいえる労働時間の適正化について、業務の繁閑に対応する視点から介護事業者でも、独自に業務閑散休暇など取り入れるといった取り組みが求められます。
介護施設では24時間365日、常に利用者に対し介護サービスを提供し続けなければならないため、閑散期や繁忙期などはないようにとらえられがちです。
しかし施設内で行う行事やスケジュールにより、多忙となる日とそうでない日は発生するものなので、介護事業者もその際の対応について検討しておく必要があるでしょう。
厚生労働省が報告している所定外労働が必要となる理由として、
・顧客(消費者)からの不規則な要望に対応する必要がある
・業務量が多い
・仕事の繁閑の差が大きい
などが多いとしています。
仕事を平準化できないのは所定外労働が発生することが要因であるということです。
仕事量(需要)は自社が調整することは困難なことが多いため、労働量(供給)を調節することが求められるため、繁閑への対応として所定外労働が必要となっているといえるでしょう。
働き方改革の推進により、従業員の心身の健康を維持するためにも労働時間を削減することが必要とされていますが、所定外労働は経営者と従業員どちらにも有益な面があります。
従業員の人数を繁忙期に合わせて確保しておき、残業なしを前提に多くの人員を配置すれば、忙しいときはよいけれど暇な時期は仕事がない従業員も出てきます。
反対に必要最小限の人員で現場を回してしまえば、繁忙期に配置がおいつかず残業が多く発生することになり、従業員の健康を損なうことになりかねませんし過労による事故などが起きないとも限りません。
これらのことから、雇用を安定して維持し現場をスムーズに回すためにも、ときには残業で対応することも必要だと考えられるでしょう。
業務繁閑に活用できる制度として、実際には次のようなものがありますので検討しましょう。
年5日を限度に労使協定で定めた日を休暇とし計画的に付与することです。対象者を決めて現場の休業日などに有給休暇を付与できます。労使協定は不要ですが、介護施設などは24時間364日稼働なので休業日自体はないといえますが、人の出入りが少ないときやイベントなど開催しない日などに計画的付与することは可能と考えられます。
時間単位で休暇を取得することで、日を単位とする年次有給休暇の例外的な規定です。2010年4月施行の法改正で可能となった制度であり、労使協定は必要ありません。
労働日と休日を交換することで、労働した日が休日労働に該当しなくなります。振替休日は同一週や4週間以内とすることが求められます。
休日に労働した分について、別の労働日の労働免除で対応することです。労働した日が法定休日なら、休日労働割増賃金の支払いが必要となります。