介護ニーズが高まるにつれ、介護サービスを提供する事業者が増える一方で、介護現場で働く人材不足は深刻化しています。
どれほど多く介護事業所がつくられたとしても、実際に現場で働くスタッフがいなければ、適切なサービスは提供できません。
そのためにも介護スタッフの労働条件の見直しや改善が求められていますが、介護現場の働き方改革ではどのような具体策が必要になるのか説明していきます。
政府が行う、福祉・介護業界特有といえる3つの取り組みには以下のとおりです。
2022年2月から、継続的な賃上げ促進を目的とし、介護職員の給料を月9000円、2022年2月〜9月にかけて引き上げる措置が実施されます。
2040年に向け、長く元気に活躍できる社会を実現させていくため、次の業務効率化を促進していくようです。
・多様な就労・社会参加の環境整備
・健康寿命の延伸
・医療・福祉サービス改革による生産性向上
・給付と負担見直しなどによる社会保障の持続可能性確保
医療・福祉サービスに関する取り組みとして、
・介護ロボットやAIの活用
・シニア層を介護助手として活用
・ICTを使った業務効率化
・組織マネジメント改革
などの計画が発表されています。
医療・福祉サービス改革に向けた医療法人や社会福祉法人の経営統合、運営共同化を進めることも発表されています。
大規模統合ではインセンティブを付与することとなります。
赤字経営が続いている事業所を吸収することで大規模経営がノウハウを普及させ、運営体制を安定化させることによって、提供されるサービスの質向上を目指していくようです。
福祉・介護現場では、具体的に労働環境を改善するため、すでに次のような取り組みが行われてます。
人材不足を補うことや、今働いているスタッフの労働負担を軽減させるため、ITツールを導入する動きも見られます。
介護記録をタブレットに入力し、ケアプランと自動的に同期化させて作業を効率的に進めるといった取り組みです。
他にも利用者のベッド上での動きを記録しレポートに活用するベッドセンサーなど、ITソリューションが導入される動きが増えています。
少人数の利用者が共同生活を送りながら、固定の介護スタッフが利用者をサポートする介護方法がユニットケアです。
いつも同じスタッフが日々の暮らしをサポートしてくれるので、利用者は人間関係のストレスを感じにくく、スタッフも業務負担を軽減させることができます。
介護業界で働くスタッフは女性比率が高いといえますが、人材不足が常態化している介護現場では、私生活を理由に休暇を取得することも勤務時間を短縮することも難しい場合がほとんどです。
そのため結婚や出産をきっかけに退職してしまう女性スタッフが多いことから、産前産後休暇や育児休暇、時短勤務制度の他、子育て世帯の方が休暇を取得しやすい制度を導入している事業所もあります。