介護施設では、利用者の個人情報や尊厳を守る上で、プライバシー保護に対する取り組みを重視することが必要です。
直接利用者と接する機会が多い介護職以外にも、事務スタッフやすべての担当者がプライバシー保護を徹底して行わなければなりません。
厚生労働省でも介護事業者の個人情報の適切な取り扱いに関して、徹底したプライバシー保護を義務付けていることを肝に銘じておきましょう。
そこで、プライバシー保護の取り組みについて、介護施設で欠かせない個人情報取り扱いの注意点を解説していきます。
介護現場におけるプライバシーとは、主に次の2つです。
・利用者の個人情報
・利用者の尊厳
それぞれ説明します。
介護福祉士法では、介護業務により知り得た情報は秘密保持義務の対象となり、外部に口外してはいけないとされています。
たとえば利用者の性別・年齢などはもちろんのこと、介護度の程度や抱えている病気などすべて守秘義務で守られなければなりません。
主に利用者の個人情報に該当するのは、以下の情報です。
・氏名・年齢
・住所
・家族構成
・疾患・病歴
・障害の有無
・要介護度
・病歴
・生い立ち
・経済状況
・ケアプランの内容
個人情報を口外した場合、秘密保持義務違反に該当するだけでなく、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる恐れもあるため注意してください。
介護現場では、利用者の個人情報だけでなく、尊厳に関わることも守ることが必要です。
利用者は高齢で人生経験も長いため、プライドを傷つけ不快な思いをさせない配慮も必要といえます。
たとえば着替えや排せつ、入浴の介助において、精神的苦痛を与えたり恥ずかしい思いをさせたりといったことは避けましょう。
特に多床室の場合、他の利用者の目に触れないようにカーテンや仕切りを使うことや、音などに配慮することが必要です。
利用者のプライバシーを守りつつ、質の高い介護ケアを行うためにも、労使間の契約書には以下の内容で業務に関する秘密保持に関する規定をしておきましょう。
・知り得た情報を他言しない
・嘘や陰口、必要以上の介入はしない
・記録書は徹底して管理する
・利用者個人のものを許可なく見ない
・私的感情による個人的な訪問などは避ける