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ノロウイルス感染症とは?介護施設の集団感染リスクへの対策について解説

2024.06.22
分類:リスク

ノロウイルス感染症は、幅広い年齢層に急性胃腸炎を起こすウイルス性感染症です。

 冬場に多発する傾向が見られ、下痢や嘔吐などを引き起こしますが、長期免疫が成立しないため何度もかかるケースもめずらしくありません。

 介護施設を利用する高齢者は特に注意が必要であり、感染力が強いため集団感染につながりやすいなど、施設全体の問題に発展してしまいます。

 拡大を防ぐためには情報共有を適切に行うなど、発生後の対処についてもマニュアル整備しておくことが必要です。

 そこで、ノロウイルス感染症について、介護施設の集団感染リスクへの対策を解説していきます。

ノロウイルス感染症とは

 「ノロウイルス感染症」とは、急性胃腸炎を引き起こすウイルス性の感染症であり、対象は乳幼児から高齢者まで幅広いことが特徴です。

 長期免疫が成立しないことで、何度もかかる感染症といえます。

 年間を通して発生する感染症ではあるものの、冬に多発することが多く流行の始まりは11月頃、ピークは2月頃です。

 ノロウイルスの増殖は人の腸管内のみであるものの、熱や乾燥に強く自然環境下で長期間生存できるといった特徴があるため、10100個程度の少量のウイルスでも強い感染力を発揮します。

  

集団感染リスクの高い時期

 11月から2月頃までは、高齢者施設でも利用者のノロウイルス感染症に注意が必要です。

 感染すると、嘔吐・下痢・腹痛なども症状があらわれますが、免疫力の低下している高齢者は重症化しやすいため特に注意しなければなりません。

 喉に嘔吐物が詰まれば窒息することになり、誤嚥性肺炎を起こす要因にもなりかねないからです。

 生命危機にかかわることもあるため、ノロウイルス感染症のリスクをしっかりと理解しておきましょう。

  

 ノロウイルスの感染経路

 ノロウイルス感染症の感染経路は、ほとんどが経口感染です。

 ウイルスに汚染された食品を、十分に加熱されていない状態などで食べることにより、感染します。

 接触感染のリスクも高く、衛生管理が十分でない状態では、利用者間で感染拡大する恐れもあります。

 不適切な衛生管理でノロウイルスが感染拡大させて行政処分が下されると、社会的な信用を失い施設運営にも悪影響を及ぼします。

 ワクチンなど予防接種もなく、発症後の治療も水分補給と整腸剤投与など対症療法のみとなるため、感染させない衛生管理の徹底が重要です。

 

集団感染を防ぐための対策

 高齢者施設がノロウイルス感染症による集団感染を防ぐためには、手洗いを徹底することからはじめましょう。

 接触感染の経路を遮断するために、利用者とスタッフが石鹸を使って正しい手洗いを実践することが必要です。

 また、共同使用のタオルなどは使わず、使い捨てのペーパータオルで洗った手をふきましょう。

 家族や外部の人の施設の出入りについても、ウイルスを持ち込まないように注意喚起することが必要です。