安全配慮義務違反とは、雇用主が労働者の健康や安全を保護する上で必要な対策を講じないことなどです。
施設などで事故が起こったとき、利用者の生命や身体、財産などを侵害することがあっても、安全配慮義務違反を問われないと限りません。
民事上の責任の中で、問題となりやすいのが安全配慮義務ともいえますが、具体的に何に違反してはいけないのでしょう。
そこで、安全配慮義務違反について、福祉事業の守るべき義務と内容を簡単に紹介します。
福祉事業の安全配慮義務とは、利用者の生命・身体・財産などの権利や利益を侵害せずに安全にサービスを提供する義務です。
介護事業者や福祉事業者など、職員を雇用していたり利用者がいたりという環境の事業者にとっては、とても大切な義務といえます。
仮に違反して事故が起こったときには、職員や利用者に生じた損害について、民事上の賠償責任を負うことになると留意しておきましょう。
なお、安全配慮義務の具体例は以下のとおりです。
・物理的な職場環境を整備すること
・事故防止策を実施すること
・心身の不調に対する対策を実施すること
なお、安全配慮義務違反に基づいて損害賠償を請求されるときには、債務不履行以外に不法行為責任も追及されるため、より注意が必要といえます。
従業員の安全配慮義務とは、事業者が守るべき、労働者の安全と健康を確保する配慮を行うべき義務です。
職員が安心・安全に働くことのできるように、以下の具体例を講じることが求められます。
・定期的な健康診断を実施すること
・常時使用の労働者が50人以上の事業所は年1度のストレスチェックを実施すること
・施設や器具を整備・点検すること
・事故要因となりうる作業環境を確認すること
安全配慮義務に違反すると、損害賠償請求されるだけでなくイメージ低下などのリスクも発生します。
パワハラを理由にうつ病などの労災申請をされたり損害賠償を求められたりといったケースも少なくないため、しっかり守るようにしましょう。
福祉事業の安全配慮義務違反とは、安心・安全にサービスを提供する義務に違反することです。
利用者の転倒が予見でき、回避できたのにもかわらず回避しなかったケースや、危険な設備や備品が存在していることを把握していながら安全対策を講じていなかったために事故が起こりケガを負わせたケースなどが該当します。
また、
従業員には年1度、健康診断を実施することも必要であるため、その点も理解して安全配慮義務に違反しない対応を心掛けましょう。