ヒヤリハットは造語の1つであり、危ない状況に遭遇したときに冷や汗をかく「ヒヤリ」と、声も出ないほど驚く「ハッと」した状態を掛け合わせた言葉です。
「ヒヤリとする」といった表現と、驚いたときの「ハッとする」といったあらわし方の造語といえますが、福祉事業においてもヒヤリハットに関する情報は常に取得しておくことが求められます。
そこで、福祉事業のヒヤリハットについて、介護施設で起こる原因を簡単に紹介します。
「ヒヤリハット」とは、重大な事故や災害に危うく繋がる一歩手前の出来事のことです。
ヒヤっとしたりハッと気がついたりといった状況を指しており、危険なことが起こったものの大事には至らなかった状態といえます。
危うく交通事故を起こしそうだったものの、一歩手前で急ブレーキを踏んだため、何の事故も発生しなかったなどの場面が「ヒヤリハット」といえますが、介護現場でも頻繁に見られることです。
施設でヒヤリハットが起こる理由は、次の3つが要因といえます。
・利用者・家族
・職員
・介護環境
それぞれ説明します。
利用者の健康状態や病状の進み方などによって、ヒヤリハットの可能性は高くなります。
たとえば認知症や足の不自由な方などは、転倒や転落事故を起こしやすいため、ふと目を離した隙に転んでしまいそうになる恐れがあるといえます。
食事・入浴・排泄などを単独でできない方も、支えていたつもりが利用者の手がすべってしまい、ヒヤッとした状況につながることもあります。
介護を担当する職員も、人手不足の現場で長時間働いているため、疲労の蓄積で集中力が低下し、ヒヤリハットにつながってしまう恐れもあります。
意識の再確認はもちろんのこと、事故防止のための監督体制の確立や、教育環境の整備などが重要といえます。
介護施設の環境や備えられている設備で、ヒヤリハットにつながることもあります。
たとえばコードに利用者の足がひっかかり転倒してしまいそうになることや、玄関に敷いているマットの段差に足が引っ掛かってしまうといったケースなどです。
また、介護ベッドの高さが利用者に合っていなかったため、車椅子への移乗の際に転落するといったことも見られます。
環境や設備に関連するヒヤリハットは施設側が改善すべきことであるため、設備や福祉機器の改善や見直しを検討することが必要です。