介護現場における破損事故は、職員の不注意以外にも、利用者本人によるものもあります。
設備や他の利用者簿私物を破損した利用者には、負担を求める施設がほとんどです。
転んだときに破損があった場合も、理由に関係なく負担しなければならないことがあります。
そこで、介護現場における破損事故について、トラブルへの対応方法を簡単に紹介します。
介護現場の破損事故とは、介護サービス提供中において、介護施設内の設備や備品などが破損する事故です。
特に訪問介護サービスでは、人身事故以外にも、利用者の居宅での建物や家財の破損事故が増えます。
物損事故は、利用者がケガを負ったり生命に影響したりといったことはなくても、重大な事故と捉えなければなりません。
利用者の大切なものが破損すれば、クレームにつながり、賠償責任を負わなければならない恐れもあります。
利用者の所持品を破損または紛失する例として、たとえば以下のケースが挙げられます。
・訪問介護において利用者宅の物品を落として破損させた
・訪問介護において利用者宅の門柱を車で破損させた
・介護施設で利用者の所持品がなくなった
利用者本人が大切にしている物の破損や紛失は、賠償問題に発展するケースもあるため、軽く考えることはできません。
介護施設への入居後は、他の利用者もいるため、何らかのトラブルに巻き込まれがちです。
たとえば、入居契約書の損害賠償の条文に、入居者の故意過失を問わずに、居室での破損・出火・水漏れなどの発生に関して、入居者の責任とし費用負担と損害賠償する旨が明記されていたとします。
この場合、消費者契約法第8条と第10条により、消費者と事業者との契約においては、以下を不当な条項として無効にするとされています。
・事業者の契約上または不法行為上の損害賠償責任を全面的に免除する条項
・民法上の通常の契約関係と比べて信義則に反し、消費者の利益を一方的に害する条項
そのため、上記の例においては無効扱いになると考えられます。
入居契約書では、損害賠償に関して、入居者が一方的に不利になる条文を設けても意味がありません。
信頼を失うことになりかねないため、入居者に一方的に不利な負担・責任を負わせる契約内容が盛り込まれている場合は、削除したほうがよいといえます。