老人福祉法は、高齢者が安心して暮らすことのできる社会実現に向けて、介護サービスの提供や施設運営に関するルールを定めた法律です。
介護サービスを提供したり施設を運営したりする事業者は、ルールの内容と違反における罰則や行政処分を理解しておく必要があります。
そこで、老人福祉法について、制定した目的や事業の種類を簡単に紹介します。
「老人福祉法」とは、高齢者の福祉に関する施設・機関・事業に関して定めた法律です。
都道府県や市区町村に対して、高齢者の福祉向上を目的に、各種計画策定や支援事業の実施を義務付けています。
老人福祉計画の作成の義務付けもその1つですが、地域ごとに高齢者の福祉ニーズに合った具体的な施策を策定します。
なお、計画には、高齢者向け福祉サービスや施設の整備と、介護人材確保などを含みます。
老人福祉法の目的は、高度経済成長期を背景として、1963年に制定されました。
地方から都市部へ人口が流出し、核家族化が進みました。
それにより、家庭内における相互扶助機能が低下したといえます。
従来までは家族が担っていた高齢者の介護の難しさが顕在化し、このような環境で高齢者福祉の基盤を整える老人福祉法が制定されたという流れです。
老人福祉法は、高齢者の健康な生活や、積極的な社会参加促進を目指します。
そのため、基本理念に、高齢者の健康保持・生活安定・社会参加促進を含みます。
特に、特別養護老人ホーム・養護老人ホーム・軽費老人ホームなどの老人福祉施設の整備に関しては急速に進みました。
現在のホームヘルプサービスに相当する老人家庭奉仕員派遣事業も制度化されて、安心して自宅で利用できるサービスも拡充されたといえます。
老人福祉法は、高齢者が住み慣れた地域でこれまでどおり、生活を続けるための支援事業に関する規定も行っています。
支援事業には、以下の6つが挙げられます。
・老人居宅介護等事業
・老人デイサービス事業
・老人短期入所事業
・小規模多機能型居宅介護事業
・認知症対応型老人共同生活援助事業
・複合型サービス福祉事業
また、高齢者が利用できる以下の福祉施設に関する規定もあります。
・老人デイサービスセンター
・老人短期入所施設
・養護老人ホーム
・特別養護老人ホーム
・軽費老人ホーム
・老人福祉センター
・老人介護支援センター