
介護施設は高齢者の終の棲家となる場合もあるため、介護福祉事業と相続は切っても切り離せない密接な関係にあるといえます。
利用者の身体的なケアだけでなく、資産管理や死後の手続など、お金と権利に関連する問題が事業所運営に大きな影響を及ぼします。
そのため、今後の介護福祉事業では、お世話をする場から終活支援の拠点へ進化すると考えられます。
争いの種になりやすい相続は、生前に遺言書やエンディングノートをのこすことで、本人の意向を尊重した手続が可能になります。
そこで、介護福祉事業と相続の問題について、トラブルを防ぐ方法を解説します。
高齢者が安心して老後を過ごし、円滑に資産を承継できる環境が望ましいですが、介護福祉事業と相続との間で起こる問題には注意が必要です。
相続は、利用者が亡くなった後に始まりますが、認知症で判断能力が低下するなど、介護と同時に対策が必要なケースも多いといえます。
介護福祉事業においては、利用者が自分らしく人生を締めくくれる環境を整えつつ、複雑な人間模様や法的リスクへの対応も求められます。
相続で大きな障壁となるのが、認知症です。
正常な判断能力を失った状態は、相続において大きな障壁となるため、銀行口座が凍結されたり不動産売却ができなくなったりします。
本人の資産から介護費用を捻出することも難しくなるため、ケアマネジャーから家族に成年後見制度や家族信託を活用する提案などが必要です。
利用者の意思が尊重される形で資産を管理することが、適切な介護サービス継続において最も重要といえます。
相続における寄与分とは、被相続人の財産維持や療養看護において特別に貢献した相続人に、法定相続分よりも多く財産を上乗せする制度です。
被相続人が望む形での相続が可能になりやすい精度である一方、たとえば施設に預けきりだった子と、献身的に在宅介護した子の間で、評価で争いが起こることがあります。
日々のケア記録や面会実績などは、家族の介護に関わった状況を客観的な証拠になるといえますが、相続トラブルに巻き込まれないいように中立性を保つことが重要です。
亡くなった利用者の介護料の未払いや、居室に残された遺品などの取り扱いに困ることがあります。
特に身寄りのない利用者の場合、相続人全員が相続放棄をすると、債権者として相続財産管理人選任を申立てる手続が必要です。
遺品も勝手に処分はできないため、部屋が空いてもすぐに新しい利用者に貸し出せない経営的リスクに直結する問題が起こることもあります。